使い魔と復讐相手
放課後、5人が教室で自分の席に座っていた。ブラウンは手元のカードを見ながら話始める。
「よし、まずはお前達は選ばれた。おめでとう」
投げやりな拍手をするブラウンにラザスは質問する。
「選ばれた、というのは?」
「使い魔、お前達が今日捕まえたチャリオットもそうだったが魔法使いは自身のサポートに使い魔を持つことがある。このカードを渡された奴は使い魔を持つ資格を与えられたということさ」
ブラウンは真っ白なカードを見せながら言う。
「選考の基準は?」
「まあ、活かす二人、殺す二人、どちらでもない一人という感じだ」
「どちらでもないとは私の事を言っているのですか先生?」
ソフィア・ローズが値踏みするかのような視線を向ける。
「別に非難してるわけじゃない、お家のために魔法を習うのも立派な動機だしな。話がそれたな、使い魔はチャリオットのように魔物と契約を交わすことも可能だがリスクもあるしおすすめはできない、だから今回は精霊をと契約を交わす」
「精霊か、どうするんだ?」
「魔力を自分の体に流す要領は分かるな?あの感覚で魔力をカードに流せ。それだけで良い」
5人はカードを取り出してブラウンが言ったように魔力を流す。するとカードにそれぞれ絵が浮かび上がる。
「お前達の魔力のイメージが精霊として現れたモノだ」
グレンのカードには炎の小鳥、レイのカードは氷の小魚、ラザスのカードには雷の亀、ボニ-のカードには水の猿、ソフィアのカードには炎のオタマジャクシが描かれていた。
「使い魔をどう活かすかはお前達次第だ。まあ今日のところはそれだけだがな、そこの2人以外は帰っていいぞ」
グレンとレイ以外は帰り二人はブラウンと話すことになった。
「さて、お前達二人を残したのは他でもない、お前達が復讐をしようとしている相手が誰なのかって事だ」
「なんだよ、俺達がどんな道に進んだって構わないんじゃなかったのかよ?」
グレンがぶっきらぼうに言う。
「俺が関わるのかの問題でね」
「関わるって、先生も復讐のために魔法を学んだのか?」
「いや、俺はこういう物事がもっと発展したら良いと思って魔法を研究しているだけさ」
「じゃあなんだって復讐の相手が誰かなんて聞くんだよ」
「俺が魔法を学ぶ理由は復讐じゃない、ただある人間に復讐をしたいとは考えている」
「復讐ねえ、先生はガルム・オスカーって名前知っているか?」
「知っているも何も、魔法の産みの親であるマール・ルナの弟子の一人だ」
「僕達はそのガルムに復讐しようとしているんです」
「おいおい、それはおかしいんじゃないのか?マールが生きていたのは200年も前の話だぞ、ガルムがまだ生きていてお前達に何か恨みを抱かせるような事をしたっていうのか?」
「はい、あいつは確かに僕達の住んでいた村を滅ぼしたんです」
「にわかには信じられない話だ。ガルムがそれをした証拠でもあるのか?」
「そんなもんねえよ」
「ですが、その時滞在していたある占い師がガルムに狙われていると言っていました」
「占い師とは、魔法があるこんな世界だがその占い師は本物なのか?」
「ミーライ・プロブシー、その占い師の名前だ。結構有名らしいぜ」
「なるほど名前は聞いたことはある、だがその占い師の証言を何故お前達が信じる?何故村が滅びた理由がガルムだと信じて疑わない?」
「別に信じているわけじゃないさ、俺達は村が滅びる頃には避難させられたからな」
「ならなおさら復讐相手をガルムとする理由が見当たらないな」
「ブラウン先生信じてください、ガルムはまだ生きていてしかも奴は僕達を探しているんです」
「探しているのは何故だ?」
「ミーライは俺達がガルムの目的の障害になると言っていた」
「障害、ガルムはそれを知ってお前達を探すのか?ますます作り話めいてきまな」
「作り話じゃない!」
グレンが声をあらげる。
「まあ分かった。お前達の話がもし本当ならお前達が目指すものはそうとうな苦労をしないといけない。それでも目指すならば」
「俺達はあいつを殺す。殺すと決めたんだ」
「なら最後にお前達が住んでいた村の村長の名を聞こう」
「ブローン・レイキット、あんたの弟だ」
「上出来だ運命の子供達よ」