戦車捕獲
ブラウンは生徒を殴り、否、生徒の魔力覚醒を終わらせる。
「よし、じゃあ運動場に行くぞ」
「う、運動場で何をするんですか?」
「決まってるだろ?実戦訓練だ」
その言葉を聞いて全員愕然とした。
「じ、実戦訓練だなんてそんな急に出きるわけないじゃないですか。それにここに来た人間の全員が戦いを目的に魔法を教わりに来た訳ではないのは昨日確認したはずでは?」
ラザスは言う。
「当然活かす道も教える、だが殺す道も等しく教えなければ学ぶ意味がなくなってしまう」
「で、ですがいくらなんでも今からなんて…」
「安心しろ、ちょうど良い練習相手がそこら中を走り回っている」
「練習相手?走り回っているってまさか!」
何かに気づいたレイがブラウンの顔を見る。
「その通り、今からチャリオットを捕まえにいく」
「え、さっき先生、学園が迅速に対応するって……」
「ああ、迅速に君達の魔力を覚醒させて対応すると言った」
「いや言ってませんよね!?」
「冗談だ、だがこれを活かさない手はない」
「僕達で捕まえれるのでしょうか?」
レイが質問する。
「五分五分、いや4割ってところだ」
「4割って結構あるんだな…」
「まあ別に速いだけだから難しくはないんだよ、でもその速さが残り6割失敗するかもしれない要因なんだがな」
「で、俺達ひょっとして丸腰で挑むのか?」
「いやちゃんと武器はある、ほれ」
ブラウンは生徒全員に手のひらサイズの青い正方形の物を渡す。
「アイテムボックス、その中に大抵の武器が入っている、好きなものを持て」
アイテムボックスに触れるとリストが現れる。
「凄い、銃まであるじゃねえか」
「拳銃だ、弾はあるにはある。が、銃自体魔法と相性悪いから使うときは6発だけだと心得ておけ。防具はお前達が着ている制服だ、そうそう簡単には破れないように作られてる」
「でも先生、どうやって捕まえるんだ?俺達魔法を発動する呪文なんて知らないけど」
「紙を渡す、そこにある程度今回役にたちそうな魔法が書かれてる。それを読めば問題ない」
数分後学園の運動場で生徒達は円形になって並んでいた。
「いいか?来ても焦るな、危なくなったら俺が止める」
「ほ、ほんとにやるんですか…」
ラザスがぼやく。
「来た、エンジン音だ。…、校舎側から来るぞ、呪文を唱えろ!」
校舎側の方を向いていた生徒が詠唱を開始する。
エンジンのような音が生徒に近づく、現れたそれは前輪1輪、後輪が2輪のバイクのようなモノだった。
そして最初に詠唱を完了したのはボニ-という女子生徒、
「水魔【ウォーターネット】!」
水の網がボニ-の手から放たれる。
網はチャリオットの走り去った跡に水音をたてて落ちる。
「遅い、次!! 運動場側!」
運動場側の生徒達が詠唱を開始するがチャリオットは生徒との距離を詰めていた。
「間に合わんか、雷魔【サンダーボール】」
雷の球がチャリオットに当たる、チャリオットはわずかにスピードを落としたものの再加速していく。
「おい、何をボーっとしている?魔法を撃て」
生徒の魔法が次々とチャリオットに当たる。
チャリオットのスピードはやがて落ち完全に停止した。
「ふむ、こんなもんか」
「全然大したことなかったな。これ先生一人で捕まえられた気がするんだけど?」
グレンがブラウンを見て言う。
「ああ、元々敵対者を攻撃するようなモードじゃなかったからな。だがこれで少しは魔法についてわかったろ?」
「俺呪文唱えてないんだけど…」
「機会に恵まれなかっただけだ。グレンお前に渡した紙を見ろ」
グレンは紙を見る、そこには炎に関する魔法の呪文がかかれていた。
「炎魔、それがお前の得意属性だ」
「得意属性?」
「そう、魔法は使おうと思えばどの属性でも使える。ただ人には向き不向きがあるようにどの属性の魔法を一番上手く扱えるかは人によって違う」
「で、俺は炎の魔法を上手く扱えるって事か」
「そうだ、これは後で皆にも話すことだ。それとお前とレイ、ラザス、ボニ-、ローズに話がある。放課後残るように言っておけ」