戦車の暴走
式はマーティが戻ってきたため何事もなく執り行われた。
「今を生きる君達がここで学んだ事をどのように活かすのか、どのように殺すのか、それは君達の手に委ねられています」
祝辞が終わり、グレンとレイ等入学生は教室にいた。教壇にはブラウン、
「少なくとも一年間お前達の面倒を見ることになったブラウン・レイキットだ」
ブラウンは白いカードを出す。
「さて、ここにいる人間は言ってしまえば変わり者だ。ここに来た理由は人それぞれ、中には復讐で魔法を学びたい人間もいる」
生徒達が少しざわつく、
「復讐、良いじゃないか。魔法なんて今の時代そんなもんでしかないんだよ」
「せ、先生。先生は魔法が人を殺すモノだと言うんですか?」
眼鏡をかけた男子生徒が質問する。
「魔法は道具だ。道具は人を選ばない、人は道具の使い道を選んでしまう。学園長の言うように魔法を使って人を殺すのも人を活かすのも自由だ。俺はその倫理をお前達に説く気はない」
ブラウンは眼鏡の男子生徒に白いカードを1枚投げた。
「お前は魔法を使って何を為す?ラザス」
ラザスはカードを見ながら、
「僕は魔法をもっと社会の一部として組み込んでいきたいです」
「なるほど活かす道だ。ならば1枚はお前に」
ブラウンはグレンとレイにカードを1枚ずつ投げる。
「グレン、レイ、お前達二人は何の為に魔法を学ぼうとする?」
「ある人間に復讐するためだ」
「理不尽な運命を変えるため」
「殺す道、2枚をお前達に」
そしてブラウンは残りのカード2枚を女子生徒に渡す。
「これで決まりだ。今選んだ5人はカードを大事にしろ。選ばれなかったやつらは残念がるな、いずれ通る道だ」
こうして魔法学園の入学式は終わった。
次の日の朝、グレンとレイは一緒に登校し、教室に向かっていた。
「ん?」
「どうしたんだ?」
グレンが急に立ち止まる。
「なんか変な音がしないか?」
レイも耳を澄ませる。
「確かに、エンジンのような音が聞こえるね」
音の招待を探していると、
「二人とも危ない!!」
ブラウンが走ってきて二人を突飛ばした、直後何かが猛スピードで通過していった。
「な、なんなんだ一体…」
その後教室にて、ブラウンは生徒数を数え終わった後話し出す。
「まさかお前達に初めに話すのが使い魔の事になるとはな、まあ仕方ないか」
ブラウンはカードを取り出す、カードには金色の獅子が描かれていた。
「使い魔、まあ魔物だな」
「魔物?魔物は絶滅したはずでは?」
ラザスが質問する。
「一応そういう事にはなっているがな、だが少数ながらもこの国にはまだ魔物は生存している。その魔物と契約を交わして使い魔とするんだ」
「じゃあさっき通り過ぎたのは…」
「スピーガ先生の使い魔『チャリオット』、この学園で起きているふた、いや今は最大の問題だ」
「使い魔が主の管理下を離れて暴走している、という事ですか?」
「そうなるな」
「ちょっと待ってください、魔法学園の教師ともあろう人間がそんなミスするとは思えません」
「確かに、だが奴が今スピーガ先生の元を離れてそこら中を走り回っているのが事実だ」
「何故そんな事に…」
「さあな」
「さあなって…」
「まあとにかく気を付けておけ、一応結界を張っておいたから学園外からは出られない、我々教師も迅速に捕まえれるように最大限の努力はする」
一息ついてから、
「ではいよいよ君達に魔法を教えよう」