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魔法学園  作者: 心木真冬
第3章 船上大決戦
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振り斬り

 グレンは剣を握りしめながらメルトとの修行を思い出していた。

 「真剣流・剣 伍の型【振り斬り】、全力で剣を振り相手を斬る。それだけの技だ」

 「全力で振るだけで良いのか?」

 「今はな、この伍の型までで真剣流・剣は完成する」

 「あれ?でも確か砂漠で拾壱の型を使ってたよな?」

 「ああ、後の型は遊びで作ったようなものだかな」

 「遊びねえ……、それで今は良いってのは?」

 「壱の型が抜刀術なら伍の型は残心・納刀術」

 「残心・納刀?」

 「こればかりは実戦じゃないと分からない感覚だ」


 (残心・納刀……)

 身体を捻りながら目を瞑る、これでグレンの準備は完成した。レイはグレンに貸してもらった拳銃と自身の銃に弾をいれていた。本来拳銃を二丁で使うには負担が大きいためこんなことはしないが手段に臆している場合ではいない。

 「グレン、いくよ」

 グレンの返答は無言、つまりは了承。

 「氷魔【アイスニードル】」

 銃をチャリムとブラウンの戦っている方に向けて引き金を引く。撃ち出された2つの氷の棘を纏った弾丸、1つにはコルッシュが憑依している。


 チャリムとブラウンの戦いは激しさを増している。双方疲労が見えるがそれでも両者の手は緩まない。そこに()()()()()()()()()()

 「こんなもの!!」

 左腕で弾を受け止める。髪が凍りつくがチャリムは無視しようとする、しかし直後に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。さすがにチャリムは弾の軌道から離れる。これを見逃さなかったのがブラウン、短剣をチャリムに向けて投げる。弾に気を引かれていたチャリムは飛んできた短剣を避けることは出来ず、左腕の髪の部分に当たり髪が砕け散る。チャリムが避けた弾も床に沈みこんで消える。

 「まさか()()()()()()()()……」

 チャリムは剣を両手で握り直し次の手を警戒する。

 「雷獣拳!!」

 ブラウンが飛び込み再び攻防が始まる。少し遅れて床から弾が飛び出す。チャリムは今度は避けずに剣で弾こうとする。しかしその時コルッシュが弾の憑依を止めチャリムの目の前を通過した。

 「なっ!?」

 チャリムはコルッシュの行動にまた気を引かれてしまう、視線の先にはレイが放った最後の弾に向けてコルッシュが憑依する姿。

 (いや、間に合う!)

 先に剣でコルッシュが乗り捨てた弾を剣で弾き、直ぐにコルッシュの憑依した弾も弾こうとする。その隙を見逃さないブラウンはチャリムに向けて体当たりする。

 「ぐっ!!無駄だ!」

 ブラウンを突き放し剣を振るい弾に当たって()()()()()()

 「潜った!?」

 剣から飛び出す弾、この距離この速度の弾をチャリムが防げる手段は残った髪を操る事だけだった。

 「雷獣脚!!」

 ブラウンがこちらに近づくため走りだそうとしているのを見て剣を構えようとするが剣の周りをコルッシュが泳いでいることに気づく。

 「鬱陶しい!」

 振り払おうとするがコルッシュはその前に剣から離れる。コルッシュを目線で追った先にはレイが走ってきている。

 「まずはお前から、ん?」

 しかしそれよりも早くブラウンが走り出す。チャリムは標的をブラウンに定めて剣を振り上げる。

 「氷魔【アイスボール】!!」

 レイが放った氷の球が剣に直撃する。

 「ふん、馬鹿め。この剣がそれだけで壊れるとでも!?」

 「だからだよ!」

チャリムは失念していた、自身の持つ剣の周りをコルッシュが泳いでいることを。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。氷によって剣が重くなりチャリムは重さによって腕を降ろしてしまう。

 「しまった!」

 剣を動かそうとするが重くてブラウンの体当たりに対応することができない、それならばと剣を盾にする。ブラウンがチャリムの前まで来て体当たりするかと思えば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 「なっ!?」

 「先生!!グレンに!」

 チャリムは足払いされて体が一瞬宙に浮く。そのチャリムの胸ぐらを掴んでブラウンはグレンのいる方向に向けて投げ飛ばした。

 「くうっ!!」

 投げ飛ばされて身動き取れないチャリム、それを待ち構えるグレン。

 「炎魔【ファイヤーフォース・アーム】、炎魔【ファイヤーフォース・ソード】」

 炎を腕、剣に集中させて、

 「真剣流・剣 伍の型【振り斬り】!」

 体全体で剣を振るかのように、飛ばされてきたチャリムを斬った。

 「うっぐわあああ!!」

 チャリムはなんとか持っていた剣で防いだが、直後投げ飛ばされてきた方向とは反対方向の空中に向けてチャリムは吹き飛ばされた。船を運んでいた烏賊がチャリムを受け止める。

 「くっ、ぐうううっ!!」

 剣が折れ腹部にもやけどが一直線に、

 「これでも……」

 チャリムは気絶して海に落ちていく、それを烏賊が掴んで船の床に横たわらせる。

 「はあああ」

 グレンはチャリムを斬った後、ゆっくりと息を吐き出している。

 「勝った、んで良いんですよね?」

 「ああ。グレン、レイよくやった……」

 ブラウンは床に座り込み、レイも倒れるように座った。一番消耗している筈のグレンは立ち尽くしたままどこかを眺めている。

 そんな静寂はしばらくして誰かの拍手によって打ち破られる。

 「フィデアか……」

 「素晴らしいじゃないか3人とも。チャリムに勝つとは」

 「何の用だ?」

 「敵として1つ、味方として1つ言ってやろう。どちらから聞きたい?」

 「味方から」

 「港に軍が待っている、その烏賊の対処も含めもう少し起きておいた方が良い。敵としてはチャリムは回収させてもらう」

 「また襲いに来るのか」

 「いやさすがに、今回の戦いで大分チャリムも戦力を消耗したからな。少なくともしばらくは何もできない」

 「それでそのどちらでもない立場として言いたいこともあるんだろ?」

 「ガルムにはチャリムは死んだと伝える。学園に近々樽を置く。その後どうするかはお前達の勝手だ」

 「……、分かった」

 その返答を聞いて静かに笑みを浮かべフィデアは消えた。

 「いみ、わかんねえ……」

 グレンはついに床に倒れた。

 「グレン!?」

 「さすがに体力きれたか……、レイも少し休んどけ」

 そうタバコに火をつけながらブラウンは言う。

 「チャリムを死んだ事にしてフィデアはどうするんでしょう?」

 「さあな、少なくとも今は損にも得にもならないことだ」

 ブラウンは答えながらこれからの軍の対応について考えていた。

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