砂と蛇
「グレン!!」
ブラウンが素早くグレンに近づこうとするが、グレンを捕らえていた鞭はグレンごとブラウンを襲う。
「くっ!!」
「絞め殺すか」
グレンの締め付けが強くなる。
「あっ!がっ、あああ!!」
「グレン!!コルッシュ!」
コルッシュが鞭に体当たりするが鞭は太く表面が少し凍っただけである。
「あるいは叩き潰すか」
グリムはグレンを放したと思えば鞭を振り下ろしてグレンを叩く、床が崩れグレンが下に落ちていく。
「グレンー!」
レイは叫ぶも間に合わない、グリムは追い討ちをかけるかのように上からグレンを殴り落とす。
「くそっ!!」
レイはグリムに向かって氷の棘を放つがグリムは軽々と打ち消していく。
「雷獣足!!」
ブラウンが穴の空いた床から下に降りてグレンを受け止める。
「ん?」
「ギャレオン!!」
ブラウンの肩からギャレオンの腕が飛び出しグリムの鞭を破壊する。
「はぁ、はぁ」
「背中を魔力で覆って衝撃を和らげたか、よくやったぞ」
「あー…」
グレンはおぼろげなな視界で緑の蜥蜴がグリムが開けた穴より上に登っていくのを見る。
「はっ!!」
グレンの心臓が大きく高鳴る、グレンは咄嗟にブラウンを押し退け床に血を吐いた。
「がっ、ゲホッ」
「おい、大丈夫なのか?」
「はぁ、だいぶ出たがってる…」
「グレン…」
「大丈夫、まだ、まだ大丈夫」
「そうか、だが無理はするなよ」
「はっ、無理をしなきゃ勝てねえよ先生」
「そうだな…」
グレンは床に吐いた血を眺める、血を吐いた床からは僅かに煙がでて刺激臭が鼻をつく、
「もう少し、後少し」
血のついた手を額の左部分に当てる、
「酔わなきゃ勝ちだ」
「行くぞ」
グレンはブラウンの背中に掴まって二人は上に上がっていく、その途中グレンが血のついた手で当てた額から角が出てくる。
「始まった」
「そうか」
二人が下から上がってくる間もレイはグリムに攻撃を仕掛けていたがレイの攻撃はグリムに届かない。
「ふぅ」
大きく息を吸いながら弾を銃に込める、
「いつまでそうしている気だ」
グリムが鞭を動かしレイを襲う、レイは慌てたのか弾丸を床に撃ってしまう。
「逃げても無駄だ」
グリムの鞭は速く、レイはその攻撃をまともにくらう。
「ぐはっ!ああっ、くっそっ!!」
床に撃っていた弾丸に憑依したコルッシュが飛び出しグリムに突撃するがグリムはもう一本の鞭でコルッシュを凪ぎ払った。
「2度も同じ事はないぞ」
「そうかよ!」
グリムのもとにグレンが飛び込んできて剣を振るう。
「ん?」
グリムはグレンの突撃にも冷静に防いだが違和感を感じてグレンとの距離を取る。
「剣が当たった部分が腐ってる?」
グリムはグレンの剣を防いだ部分を観察する。その部分からは先ほどグレンが血を吐いた床の部分のように煙が出ている。
「ほう」
だがグリムはグレンの顔を見て納得する。
「グレン…」
「よおレイ、元気そうだな」
「なんとかね」
少しして床に空いた穴から緑の蜥蜴が上がってきた。
「はあ」
「さてもう良いだろ」
緑の蜥蜴の尻尾が伸び15階にあった石碑に突き刺さる。
「来い」
蜥蜴がグリムに近づきその腹に噛みついた。
「な!?」
「あるべき姿に」
「まずい…、逃げるぞ!」
ブラウンは急いで塔から飛び降りる、
「おいおい、まじかよ!」
二人も続いて飛び降りる。塔は呻き声を上げ、今にも崩れそうだった。