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作戦会議

 名づけの儀式はあっさり終わった。

「で、お主この後どうするつもり?ワシはどうせ暇だったからしばらくは大人しくお主に使役されといてあげる」

「なんでお前偉そうなんだ?さっきは『お主のような黒髪ごときの魔法がワシに通用するとでもー』的なこと言ってたくせにイタタタタタタタ!噛みつくのやめろ!!」

「余計なこと言うからだよ」

 怖い怖い。ちょっと自重するか。


「で、何の話だったか?」

「この後どうするつもり?って!」

「そうだなあ、とりあえずあの少女のところに行きたい。やはり」

「無駄。ワシも最初お主があの屋敷にいた時に乗り込んでやろうと思ったけど」

「おいおい」

「結界に覆われてて全く入り込めなかったの。仕方ないからギリギリ屋敷をふっとばさない程度のヘルファイアぶつけてみたんだけど」

「おいおい、名前からしてヤバいやつじゃないか」

「壊れなかったの。あの子、相当の使い手だよ」

「壊れなくてよかったぞ本当に!そういえば俺もテレポートさせられたしな」

「それも見た。テレポートなんて一人で行使できるような魔法じゃないのに。謎が多い子だよ……。そういうわけで、会いに行っても無駄だと思う」

「じゃあ会いに行くのはやめるか」

「諦めるの?」

「なわけ。あの子だって俺を発見してくれた時のように、ずっとあの屋敷にこもりっぱなしというわけではないだろう。その機会を待つ」

「それまでどうするの?」

「とりあえず、生計を立てるか。俺金ないし。ところでこの世界のお金ってどうなってるんだ?」

「だいたい金属で作ったコインっぽいのを使ってるね。銅が一番希少で、次に鉄とか金とか」

「この世界では銅が一番貴重だと?」

「いや、正確にはアダマンタイトが一番高価だけど、加工できないからコインにはされないの。次に銅かなあ」

「じゃあ……この小銭だけでだいたいどのぐらいの価値がある?」

 小銭入れから何枚か10円玉を取り出して渡す。

「こんな高純度な銅、初めて見た……!立派な家が建てられると思うよ」

「は?この程度の小銭にそんな価値が?」

「ある程度不純物が混じっていても高価な銅を、こんな高純度で、しかも美しい円形で作り出すのはそうそうできないことなの」

「この世界ではどうやって高純度の銅を精錬してるんだ?」

「確か、超高温を生み出す魔法で溶かして鑑識系のスキル使って見分けて力系の魔法で分離して作ってるはず。そりゃ高くなるわけだよ」

「そうなのか!いいことを聞いた。ちょっと買い物に行くぞ!ところでアルカ、電気を生み出す魔法を使えるか?」

「電気って何?」

「電気を知らんのか!?そうだな……じゃあピカッとしてビリッてなる魔法は使えるか?」

「ライトニングなら使えるよ」

 ライトニング、雷か?それで大丈夫だろう。

「でも今のこの黒髪状態じゃ碌な魔法は行使できないよ?」

「黒髪をダメみたいに言うな!なんか魔素が詰まったツボみたいなやつはないのか?」

「あるといえばあるけど……。魔法瓶っていうやつで、魔素をたくさん含んでるけどすごい不便で、ものすごい高い上に、一度使い始めたら同じ魔法しか使えない上に、中断すると例えどれだけ魔素が残っててもすべて使えなくなる上に、一度に大量には使えなくて数日間かけてチビチビと消費するしかないっていう超曲者。使ってるの見たことない」

「ほう、魔法瓶、とな。都合がいいじゃないか。買いに行くぞ」

「え、ちょっと待って。買って何するの??」


 数時間後。

「お主、さっきまで全財産をはたいて買ったものが、魔法瓶とこんな細長い銅と金のでっかい容器ってどういうこと?」

「俺だってガラスとか使いたかったけどないんだろう?」

「ガラスって何?」

「ガラスも知らんのか……まあ、それはまた後程。ちょっとアルカに取ってきてほしいものがあるんだが、お前鑑識系のスキルは持ってるか?」

「まあ、一応」

「よし、じゃあ今から思念で伝える情報のものをたくさん持ってこい。場所は銅の産出場所にあると思う。こっそりやれよ!!」

「やだよ。めんどくさい」

「これが終わったらティッシュの製造に取り掛かってやろうと思ってたんだがな……(チラッ)」

「てぃっしゅ!?むむむ、癪だけど、取ってきてあげる」

 そう言うと、アルカは元の姿に戻り、空へ羽ばたいていった。

 周りが大分ザワッとしたが、大丈夫だろうか。

 まあ捕まっても俺の中に取り込めばいいのだが。

 

 ところでアルカの疑似的瞬間移動だが、どれだけ遠くに離れていても俺の意思で取り込めるらしい。

 ただ取り込む前に持っていたものはすべて置いてけぼりになるそうだ。

 どこまでが持っていたものと判断されるかは微妙なラインだが、実験したところ服とかはダメで身体の一部だと認識されるものはいいらしい。

 じゃあ今着てる服はどうしてるんだ?と聞いたところ、どうやら魔素で生み出しているらしい。便利だな。

 再出現は好きなところに出せるわけじゃなくて、俺の半径約2メートル以内ぐらいが限界だ。

 欲しい物を回収したら、すぐ取り込めたりしたら便利だったのだが。


 まあ、そういうわけでしばらく帰ってくるのに時間はかかるだろう。

 俺は寝て待つことにした。早く上質なおふとんを用意したい。


蛇足な部分を削って何話か統合しました。

影響はほとんどないので読み返さなくても大丈夫だと思います。


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