1丁目 120番地 八百屋「八百八」 前編
家賃をしこたま滞納していたさつきとの勝負にも勝ち、順調に潤っていく夕海の財布。偶然通りかかった八百屋でとんでもない物を目にする…。
<キャラ性能>
釘内夕海:チビのパワー型投げキャラ。投げキャラの癖に空中ダッシュも出来るが、遅いので対空に注意を要する。大工道具を使った豪快な打撃技とよく分からない投げ技が持ち味。
金髪ツルペタロリ大家。わりとがさつ。
父手ケーナ:長身の足技キャラ。牽制技や近距離技等使い勝手の良いスタンダードキャラ。ちょっと足癖が悪い様に見える時もあるが、それが良い。全キャラ中一番の豊かさを持つ。
黒髪ハーフ天真爛漫。アホ。
五月雨さつき:遠距離タイプ。ロボットアームから飛び道具、懐から罠等トリッキーなキャラ。近距離はまるでダメ。
チビ茶髪白衣ミニスカ僕っ娘。発明に命をかける26歳。
さつきからたんまり家賃を回収した夕海はご満悦だった。
「へへっ!こんだけありゃあ暫く安泰だぜ!」
ニヤニヤしながら財布を撫でる夕海が通りかかったのは、八百屋の「八百八」だった。
「そうだ!今日は久々にすき焼きにするか!おお!オヤジ!久しぶr………」
店先に入った途端。夕海の表情が凍りつく。そこには買い物を終えたばかりであろう野菜の袋を持った女性が一人。
「(…何故こいつらが…)」
深い緑色の長い髪に清楚な佇まい。緑のワンピースに抜けるような白い肌。彼女の名は草壁草子24歳。旦那と二人暮らしで専業主婦をしていて、彼女も夕海の店子(たなこ:大家から借りている人)である。ただ一つ違ったのは、草子の肩には大柄な無骨な武士と細見の寡黙な武士の幽霊が居たのだ。
「あら、大家さん。こんにちは」
「あ、ああ…こんに、ちは」
にこやかに挨拶をする草子に対し、夕海の表情は引きつっており返事もぎこちない。
昔、夕海の借家の1つに幽霊が出る家があった。初めてその霊をみた夕海は腰を抜かすほど驚いたが、普通に会話も出来て、家から出ていく気も無いようなので何もしない事を条件に放置していた。二人の霊は「武蔵」「小次郎」と名乗り、巌流島で相打ちで死んだ後成仏できずに現代までさまよっていた様だ。
その家に草壁夫妻が住むことになり、夕海は少し心配であったが夫妻には見えていない様なので大丈夫だろうと家を貸した。それ以来霊の姿を見なくなったので安心していたのだが、、、。
「お前ら何もしない約束はどうした!何故草子に憑りついている!」
武蔵が不敵な笑いを浮かべながら話す。
「中々に具合が良くてな!身体を乗っ取って動かす事も出来るわい!!折角自由の身だ。現代ライフを満喫するのに持って来いじゃろうワハハハハハ!!」
小次郎もニヤリと笑う。
「ふざけたクソジジイどもだ!!さっさと成仏してもらうぞ!!!」
3rd stage 八百八
武蔵がすうっと草子の身体に引っ込んだ瞬間、草子の表情は気迫に満ち、全身から赤黒くて悍ましいオーラが溢れた!!そこにはもう草子の面影は無く、荒々しい武士の姿があった。
「野郎!」
夕海が開幕前ダッシュで草子を金槌で殴ろう(5C)としたが、なんと武蔵は大根で軽々と受け止めたのだ!!
「なっ!?」
一瞬何が起きたのか分からない夕海。そのまま足払い(3C)まで入れ込んだが再び大根でガードされてしまう。
「ここの野菜は大層良い野菜だ!作り手の愛が違うのぅ!貴様の技など八百八の野菜に比べたら、児戯に等しいわ!!」
「普段食ってるけど、そんなわけあるかぁ!!」
夕海はそばにあった大根を両手で力を加えてみると大根はすぐに折れた…。
「どういう仕掛けだ…?」
「今度はこちらの番だ小娘!!」
武蔵が大根を片手で降り下ろし地面を叩く!地面に衝撃が走り、えぐれ、瓦礫が飛散!(214A)咄嗟にガードする夕海だが、その衝撃に腕が痺れてしまう。
「この化け物め…」
力には自信があったが、こいつとまともにやりあうのはまずい。そう夕海の直観が告げていた。
「先ほどまでの威勢はどうした!!」
草子の買い物かごからピーマンを取り出し、大振りで夕海に投げつける武蔵(236B)。はたから見るからに普通のピーマンが夕海に飛んでいくだけにしか見えないが、夕海は垂直ジャンプでかわす。ピーマンはそのまま壁に当たり、凄まじい衝撃で壁をぶち抜き、彼方へ消えて行った…。その光景に唖然とする夕海。
「(ピーマンですらやべぇ…。けど分かったぞ。武蔵の攻撃は基本的に発生が遅い。技の出掛かりを潰せれば…)」
夕海は金槌(5C)足払い(2C)がギリギリ届く距離を保ちながら牽制をする。武蔵が攻撃すれば夕海の牽制が当たってしまう。牽制が空振りしても武蔵に確定反撃が無いため、夕海のガードが間に合う。しかし夕海も足払いが武蔵に刺さっても距離がある為コンボへ繋げない。
「ええい!洒落臭い!!」
チクチクと単発技で体力を削られていく武蔵の怒りが頂点に達した!
草子のカットインが入るや否や、武蔵から無数のキュウリが飛び出し、凄まじい回転で夕海に迫る(超必殺技:632146C)
「くっ!数が多すぎる!!」
2本のキュウリを腕でガードするも、3本目4本目のキュウリが夕海のお腹に容赦なくぶち当たる。そのままガードが崩れ、キュウリの雨は夕海の体力をゴリゴリと削っていった。辛うじて受け身は取れたが、4割近く体力ゲージを持っていかれた。
「ほほぉ、まだやれるか。小娘にしては中々しぶといのぅ!」
「へっ!こちとら力仕事で鍛え方が違うのよ!」
夕海は空中ダッシュで近づき、足払いをすると見せかけて前ダッシュで近づく。武蔵の懐に潜り込むと素早く武蔵を持ち上げ、空中に投げた。夕海もジャンプし空中で武蔵を捕まえると脚を掴み、相手を90°に曲げ背中を地面に叩きつけた!(レバー1回転A)
「ぐぉぉ!ぬかったぁ!」
ぐったり倒れ込む武蔵。赤黒いオーラが消え、素の草子に戻る。その肩にはもう霊の姿は無かった。