1丁目 54番地 五月雨家
カードの返済を滞らせてしまった大家の釘内夕海。このままだと気持ちよくグアム旅行へ行けない!(ついでにお土産とかも買えない)
そこで思いついたのが家賃の前払い。ケーナとの戦いに勝利し、家賃を貰えた夕海が次に向かったのは…。
<キャラ性能>
釘内夕海:チビのパワー型投げキャラ。投げキャラの癖に空中ダッシュも出来るが、遅いので対空に注意を要する。大工道具を使った豪快な打撃技とよく分からない投げ技が持ち味。
父手ケーナ:長身の足技キャラ。牽制技や近距離技等使い勝手の良いスタンダードキャラ。ちょっと足癖が悪い様に見える時もあるが、それが良い。全キャラ中一番の豊かさを持つ。
「よーし、まずは1件分!久々に動いたけれど、まぁこんなもんでしょ」
と頭をポリポリ掻きながら、夕海は次の家へ向かう。父手家のすぐそばにある五月雨家だ。
五月雨家には「五月雨さつき(26歳)発明家」が一人で住んでおり、日夜怪しい工作に没頭している。
夕海はさつきとは子どもからの知り合いで、高校から離れたが少し前にさつきが戻ってきて住む場所を探していたのでたまたま空いていた家を貸した。
たまに役に立つ発明で夕海の助けになることもあるが、勿論失敗の方が多い。その為、家の内外には失敗品の数々が置かれている。座右の銘は「失敗は成功の元」
夕海は五月雨家の前に着いたが、庭先には相変わらず発明品やガラクタやよく分からない物で溢れかえっていた。玄関の鍵は閉まっており、チャイムを押しても返事が無い。
「ちょっと見ない間にすぐ物増やしやがって。どうせまた中で怪しい事してるんだろ?………ん?ああ!!あの野郎!!!」
夕海の視線の先には家の壁に不自然に釘で打ち付けられた50cm四方の板があった。腰の道具入れから小さいバールを取り出すと釘を1つ外し、隙間を覗いてさらに驚愕した。なんとそこにはぽっかりと大きな穴が空いていたのだ!
「あいつ、また親父の家に穴空けやがったなぁ〜!」
五月雨家の外壁に穴が空くのはこれで3回目だ。最初はステンレス製のペットボトルロケットが家に当たり、次に外に積んだガラクタが崩れた時だ。夕海は板を外し、穴から顔を出し、中を覗いてみた。
中は昼間なのに薄暗く、怪しい機械が動く音とさつきが使う溶接機の光だけが動いていた。
「やっぱり居やがったな、こいつは家賃も溜めてやがるから、修理費含めてしこたま取ってやるか!」
溶接棒を作業台に置き、溶接マスクを外したさつきと目が合う夕海。
「のわーーーーーー!びっくりしたーー!!」
ちょっこりと穴から顔を出していた夕海に驚くさつき。その驚き声に夕海も少しビクッと驚いた。ボサボサの茶髪に大きめの白衣+ミニスカート。ちぐはぐな恰好だが、本人は入たく気に入っているらしい。
「さつき!また家に穴開けやがって!!今度は何しやがった!!修理費払え!!!ついでに滞納分の家賃とこの先3か月分の家賃も合わせて払いやがれ!!!!!」
「な、何だい急に藪から棒だな」
「いーや、壁から釘だ」
「…?……僕が壁に穴を空けた事を黙っていたのは誤けど、それには深い訳があるわけで…」
「どうせ発明に金使って修理費が無いんだろ?安心しな。私が代わりに外にある鉄クズ達を売ってきてやるよ。そこそこ重量あるから家賃と修理費くらいにはなるだろう。外も片付いて一石二鳥だな!」
夕海のその言葉を聞きさつきの顔の表情が強張る…。
「鉄…クズ?しかも売る!?それなら今完成したこのロボットアーム8号でコテンパンのケチョンケチョンにしてやるぞ!」
ゴテゴテのロボットアームを両手に装着し、工作室にて対峙するさつきと夕海。
「説明しよう!!」
「またさっきのおっさんか!?」
驚く夕海。突如現れた黒いおっさんにさつきは無反応だった。
「ガード中にAB同時押しでバリアを出せるぞ!削りダメージを無効化出来るが、使用中はゲージを消費するから残量に注意だ。それとBC同時押しで通常投げ、ABC同時押しで必殺技等をキャンセル出来るぞ!」
そう言い残し、おっさんは何処かへ消えていった。
2nd stage 五月雨家
開幕空中バックステップで距離を取る夕海。
「あのアームが何なのか、まずは様子を見よう」
距離を取る夕海を見て、さつきはニヤリと笑う。
「僕の自信作を食らえ!!」
アームを前に突き出し、腕の部分が高速で回転した瞬間、ガガガガガガガ!!!と激しい銃弾の嵐が吹き出した!(236A)
「うおっ!こいつ家の中でマシンガンぶっぱなしたぞ!」
激しい銃弾を腕でガードする夕海。マシンガンを撃ち終えたさつきの表情は恍惚としていた。
「随分物騒な物を作ったんだな」
「最近は女性の一人暮らしも危ないからね!」
「しかも弾100発も撃てるのかよ」
「!?なんで分かったの?」
「お前の足下に球の残数が書いてあるよ」
足下を見るさつき。そこには弾丸マークと×90の文字があった。
「なんだこれ?まぁいいや。どうせ君は後90発も耐えられない!他にも仕掛けが満載だ!早く諦めて帰るがいい!!」
さつきは左腕を夕海に向け右腕で支えると、左腕から謎のエネルギー弾が発射された。(623A)突然の事に驚く夕海だが、垂直ジャンプで辛うじて避けた。
「もはや何でも有りだなその腕は!」
前ダッシュで近づく夕海、飛び道具は危険と見て早々に仕掛けた。が、突如夕海の動きが止まる。足が粘着質の物体に取られ、地面から取れなくなってしまった。
「さっき仕掛けておいたのさ!!(22B 罠技)」
懸命に足を外そうとする夕海に対し、さつきは左腕のエネルギー弾を溜めに溜めていた(623B 溜め可)。
足を取られた夕海は限界まで溜まったエネルギー弾をかわせず、両腕でガードを試みる。
「いてててて!!やばい!削りダメージが凄い痛い!!」
とっさにバリアを展開する夕海。ゴリゴリゴリとバリアとエネルギー弾が衝突する音がし、エネルギー弾が消える頃には夕海のゲージは尽きてしまった。そして夕海の体力も3割程無くなっていた。
「次まともに喰らったら流石にきついな…」
そこから暫くは夕海の防戦一方であった。銃弾とエネルギー弾が入り交じり思うように近づけない。
徐々に集中力が無くなっていく夕海。エネルギー弾(623A)を避けれずにまともに喰らってしまう。
「いてっ!………あれ?思ったより痛くないぞ?」
夕海が上の体力ゲージを見ると、ガード時の半分以下しか減ってなかった。
「もしかして普通に喰らった方が安い?ならあんな弾なんか気にしなくていいや!」
心機一転、夕海はエネルギー弾の被弾を気にせず、ダッシュや空ダッシュでグイグイさつきに迫っていく。さつきはマシンガンで追い払おうとするが、ついに銃弾が尽きてしまった。そしてついに初めて夕海の攻撃がさつきに届いた。
A攻撃を刻み、固めに入る夕海。何とかして距離を離したいさつき。後ろジャンプ入れっぱのさつきに夕海の足払い(3C)が刺さり、ケーナ戦で見せたダウン起こし(214A)から超必殺技(236236C)でさつきの体力ゲージを半分持っていく。普段力仕事をこなす夕海に対して完全インドア派のさつきの体力はかなり低い。
「かなり痛いんだけど〜」
ダウン中に画面端に押され、絶望的なさつき。もう後が無い。しかし残り時間はあと僅か。最後の攻防を凌げばさつきの勝ちだ。夕海は起き上がりにJCを重ね、着地後の崩しを狙った。さつきは択を拒否する様に後ろジャンプを選択。夕海は着地後、しゃがみ小パン(2A 上段)から肘打ち(5B)を入れるが、2A→5Bが連続ガードにならず、後ろジャンプ入れっぱのジャンプ出だしに5Bが空中ヒットした!!夕海は空中のさつきを掴み振り回して地面に叩き付けた(623A)。
そこで時間切れ。最後にギリギリ巻き返した夕海の勝利に終わった。
「くっそぉ!僕の負けだよ…」
「じゃあ外のガラクタ達は貰っていくぜ」
「待って!家賃なら今払うから、私の発明品には手を付けないで!お願い!!」
「あるなら最初から出せばいいのに…」
手渡されたお金をペラペラと数える夕海。
「ちょいと足りないな。壁の修理費はまた後で徴収するから、変な物に使うなよ」
夕海は意気揚々と五月雨家を後にした。