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operation flags  作者: k.はる
二章 -開始(Start)-
51/52

二章・7‐1

遅れて大変申し訳ありません。

予約投稿を忘れておりました……

以後同じことの無いよう善処します。

(そもそもテスト前で書けてないですが……)


一章・1を編集しました。

メリオダスの一人称を「俺」から「僕」に変更しました。

編集作業はかなりローペースです。


※今回は約5000字です。

次回予告を予告っぽくしました。

    7

 視界が戻ると、あの枯れ果てたサバンナのような地形が一転、青々とした草木の生い茂る場所へと移動していた。

「何つーか、もっと統一性出せや! って感じだな」

「そもそもなんで戦争ゲームでこんな場所があるのさ?」

「俺に聞くなっつうの」

 コンビチュートリアルを終えてここへ移動してきた二人。分断されることなく並んでこの場所に転移していた。

「おっ! あそこで集まってんぞ!」

「僕たちが最後だろうしね、急がないと」

 少し丘を下ったところに、他のメンバーが集まっているみたいだった。

 なぜそれが同じ部隊の仲間だと分かるかと言うと、ウインドウで名前が出ているのもそうだが、みなあの制服を着ていたからだ。

「そう言えばさ、なんでみんなあの服着てるの?」

「お前だって着てるじゃねえか」

「えっ……?」

 そう言われて自分の体を見るメリオダス。

 その体は、確かにあの痛い(トカレフ曰くカッコいい)服を纏っていた。

「なんで!?」

「まさかお前、気付いてなかったのか!?」

 ロッテルに言われ、記憶を遡らせるメリオダス。

 そう言えば、ロッテルは会った時からこの服(制服)を着ていた。

 色々体を動かしたとき、視界の端に制服が映っていた。

「きっと機械が読みこんだんだと思うぜ? 初期装備がみんな同じじゃ区別付かねえもんな」

「確かにそうだけど……」

 メリオダスは思った。

 自分たちは今みたいに制服を着ているからいいけど、普通の人は普段着とか、もしかすると寝間着とかかもしれない。人によっては、体への負担をなくすために下着同然の恰好かもしれない(さすがに何も着ていない人はいないと信じたい)。機械に空調などが付いているから、はっきり言ってどんな服装でも苦にならない。ただそれがゲームの初期装備になるなら別だろう。お気に入りの服が汚れれば、それが実際そうでないと分かっていても傷つくし、薄着だったら、耐久値は同じでもなんだか不公平な気分になる。そもそも人に見せないような、そんな格好だったら大変なことになる。

 第一自分にとってこの服は人に見せたくないものであって、そんなものを着てゲームをする……って!

「あれ?」

「どうした? メリ」

「そもそも僕着替えて機械に入ったはずなんだけど……」

「それがどうかしたのか?」

「だって霧野の言う通り機械が読み取ったなら、僕はこの服着てないはずだもん!」

「おまえよくあの短時間で着替えようと思ったな。それで遅れたんじゃないか?」

「関係ない!」

「あと、『霧野』じゃなくて〈ロッテル〉、な?」

「どっちだって同じでしょ!?」

「いや、ゲームの中で霧野っつうのは……」

「じゃあ今日から現実でも『ロッテル』ね!」

「さすがにそりゃ勘弁してくれ! 分かったよ。今はそれでいい」

「なら最初っから気にしないでよね! どっちだって本名なんだから!」

 あの痛々しい制服を着せられていることに気付いたメリオダスは、その怒り(?)の勢いでロッテルに競り勝っていた。いつものメリオダスなら喜ぶところだろうが、今は怒りでそのことに気付いていない。ロッテルも、負けたことには気づいていないようだった。

「おいおい、いきなり何の騒ぎだ?」

 二人に気付いたトカレフが、様子を見にやってきた。

 ローレンスは気づいているようだが、他のメンバーは話すのに夢中で二人に気が付いていないようだ。

 本当にこれは部隊なのだろうか。そう思うが、『ゲーム』なのだから良い気がしなくもない。

「なんなんですか!?」

「『なんなんですか』っていきなり言われてもなあ。俺には何も言えないが?」

「この服ですよ! 僕は着替えたはずなんです。なのになぜまたこの服を着ないといけないんですか!」

 こんな精神の状態でも、敬語がなくならないところがメリオダスらしい。さっきまでタメ口だったのに、目上の人が現れた瞬間こうだ。もっとも本人には慣れでしかなくて、無意識なのかもしれないが。

「良いだろこの服。カッコいいじゃんか」

「それは現実でも言いました! これはそこまでカッコよくないし、第一痛いんです! それに、言うのであれば『カッコいい』じゃなくて『格好いい』です!」

 だんだんメリオダスが暴走してきている。

 その騒ぎに、ようやくほかのメンバーも気づいたようだ。

 あたりがシーンと静まる。

「なあロッテル? 確かあれだったよな?」

(((((『あれ』?)))))

 そんな中、一人ロッテルが話し始めた。

 今聞き始めたメンバーは、『あれ』とは何かが分からないようだ。

「『あれ』ってなんだ?」

 だがそれは、聞かれた本人であるロッテルも、そして少し顔の力が緩んだところから、メリオダスすらも分かっていないようだ。

「漆黒のマントを靡かせて、同じく黒い眼帯で右目を覆い、そして叫ぶ! 『俺は――』」

「トカレフさんストーップ!」

「グハッ……」

 トカレフが一人何やら話し出したところを、メリオダスの体当たりがそれを止めた。

 ゲームの中だから、トカレフの体は面白いほど飛んでいく……こともなく、しかし突然のことで対応できなかったトカレフは盛大に腰と背中を地面に打った。

「なんだよ。間違ってたか?」

 それでもトカレフはケロッとしたように、軽い口でメリオダスに言う。

 ゲームの中とはいえ、その衝撃による痛みはかなりであることはメリオダス自身知っている。

 だが、今はそんなことなど気にもならなかったようで。

「トカレフさん? なんでそれ知ってるんですか?」

「そりゃロッ――!」

 トカレフが答えようとして、しかしそれはロッテルにより防がれてしまった。

 ただ、今その行為をするというのは、自分が犯人だと言っているようなものである。

 そして、トカレフの口をふさぐためにしゃがんだ――――その行為は現状、自殺をするようなものだった。

「霧野? 言わないでって……前に言わなかったっけ?」

 メリオダスは輝くほどの笑顔で、しかし目だけは冷たくまっすぐロッテルの目をとらえていた。

「っと、それは……」

「これは身をもって知らないといけないかもね……」

 ロッテルが口ごもり、それに追い打ちをかけるようにメリオダスが言いながら、自分の腰に手を回す。

 そこには、〔ジャックナイフ〕の入っている鞘がかけられていた。

 そして、カチャッ、と言うような音が聞こえてきそうなしぐさで、鞘から刃の付け根を露わにする。

 まだチュートリアル。だからこそ、安心していたロッテルは武装解除をしていた。それは今攻撃を受けても体力は減らないから。

 ただし、『数値上』攻撃が無効化されているだけであり、他の感覚同様痛覚は残っている。

 つまり、今は逃げることも死ぬことも許されない、ただ痛みを感じるだけの一種の拷問を、メリオダスはすることができるのだ。

 トカレフを除く他のメンバーは、息を飲んで見守って――――否、身構えていた。

 もし自分が攻撃姿勢に入れば、自分もその拷問の対象になるだろう。

 だからと言って、それをしなければ攻撃されないとも限らない。

 いつでも逃げられるようにと、身構えていたのだ。

 トカレフはと言うと、二人に挟まれて震えているようにも見えるが、実は今になって痛みに耐えられなくなり、もがいているだけだったりする。

 身構えるメンバーは思った。

 『これは、避けられない』と。

 そして実際、ついに抜ききった〔ジャックナイフ〕をくるりと半回転させ、逆手に持ったメリは、いかにもそれを突き刺そうというような構えである。

 その顔は、いまだに笑っていた。

 柄を包み込むように、右手ごと左手で覆う。

 そして、見て分かるほど腕に力が入ったかと思うと、だんだん腕は上がっていき―――― 

「遅れてすいませんっスー。……あれ? もう始まってたりするっスか?」

(((((居たーっ!!)))))

 身構えメンバー全員が、この場の雰囲気を一気に変えた人物(ジン)に、心の中でずこーっと足を滑らすような反応をしていた。

 ただ、メリオダスとロッテルはジンが来たことすら気づかず腕を上げるのと恐怖するのを続けていて、トカレフに至ってはジンのことに気づいたというのに何食わぬ顔をしている。そして、こっそり二人の間から抜け出していた。

「話し合って……って、何やってるんっスか! そんなもの仕舞ってほしいっス!」

 二人より先に、ジンが二人に気付く。

 そして、ナイフを構えるメリオダスを止めようと思いっきり走って行く。

「うわっ!」

 ただ、近づいたからかメリオダスが気付いたらしく、ジンの方を向いた。

 その計算違いな行動がジンの計画を狂わし、結果、

 ドンッ!

 ジンとメリオダスは正面衝突することになった。

「いてて……」

「なんかつい最近もこんなことになった気がするっス……」

 そして、前にメリオダスがジンを押し倒したように、今度はジンがメリオダスを押し倒すように倒れた。

 ただもう一つ、この二人はあることを忘れていた。

「でも、ロッテル君が無事でよかったっス。ダメっスよ? 味方に武器なんか向けては……あれ? そう言えば、ナイフはどこ行ったっスか?」

 何を隠そう、メリオダスの持っていた〔ジャックナイフ〕である。

 ジンに言われてメリオダスも気が付いたようだが、手放してしまったようで、そこから見える位置にも無いようだった。

「まずその体勢から動いたらどうなんだ?」

 トカレフが、今だ乗りかかったままのジンに向かって言う。

「っ! すいませんっス!」

「前は僕の所為でしたし、お互い様ですよ」

 ジンはすぐ謝るが、メリオダスはそう重くは思っていないようで、さらっと受け入れる。

「そんなことしてないで、さっさと始めない? みんなそろったのだし、時間がもったいないわ」

「そうだな。じゃあ……」

「お前ら……」

「「キャッー!」」

 辛うじて言葉が聞き取れるほどのこわごわ強い声に、トカレフを急かしたシュリンプと、そしてルーピンが悲鳴を上げる。

 メリオダスはビクンと体を震わせて、顔を青くしている(ゲームの中だから他の人には気づかれていない)。

 そしてタカシも、ビクンと……突然ルーピンに抱き着かれた驚きで体を震わせた。

 ディオとジンは何食わぬ顔で、逆に何が起きたのか興味があるようだ。

 ローレンスだけは、今何が起きたかを見ていたので、表情一つ変えていない。

 残ったロッテルはと言うと――――

「俺をほっといて……話を進めるな……」

 見事に声帯にナイフが刺さった状態で倒れていた。

 ローレンスが見た光景は、ぶつかる瞬間なぜか勢いよく放たれたナイフが、一直線にロッテルの喉元へと向かい、そして刺さるというものだった。

 ダメージがないからか、血が全く出ていないのがまるで素人ドッキリのようにも見えるが、本当に刺さっている。痛みがどうなのかは知らないが、ゲームだったから今も話し続けていられるようだった。

「自業自得だな……」

「そうだよ。ロッテルが悪いんだからね!」

 ロッテルを見てつぶやくトカレフに賛同して、メリオダスが言う。

 そう言いながらも、ナイフを回収しにロッテルの元へと向かった。

「でもトカレフさん?」

「なんだ?」

「もとはと言えば、トカレフさんも悪いですよね?」

「えっ……と、それは……だな」

 突然話を振られたトカレフは何も思うことなく返事をするが、すぐに理解したようで、言葉が詰まってしまった。

「ロッテルがこんなになって、トカレフさんだけ無事なんて、不公平ですよね……?」

「っ!?」

 その時点で、トカレフは悟った。自分がこれから何をされるのかを。

「ですからトカレフさん? トカレフさんも――――」

「ちょっと俺走ってくる! 話進めておいてくれ!」

「――って、逃げるなー!」

 逃げ出したトカレフを、ついに敬語がなくなったメリオダスが追いかけ始める。

「待てーっ!」

「いいからお前は落ち着けって!」

「それはあとでー!」

「そんなのありかよっ!?」

 二人の叫び声が、広い草原に響き渡った。

 そして、残されたメンバーはと言うと。

「あれ、どうするか?」

「おらは放っておいていいと思うっスけどね」

「じゃあ待つの!? さっさと始めちゃいましょうよ!」

「そうしたいのは山々なのだがな、進めるにはトカレフが操作しなければいけないんだ」

「つまり俺らじゃ始められねえっつうことだ。ま、待つしかねえな」

「そう……ですね」

「お前ら……、とりあえず俺の心配したらどうなんだよ!」

 置いてきぼりにされたロッテルが、ナイフを抜いてもらったおかげで元の戻った声で叫ぶ。

 ただその声は空しく丘で反響するだけで、届くことはなかった。



次回予告 二章・7‐2


部隊チュートリアルは、他のチュートリアルとは違うというトカレフ。

その言葉の通り、そこから始まったチュートリアルはそれまでの形式と違っていた。

テストがなく、いきなり始まった模擬戦。

4対5の銃撃戦が今、始まる――――。

(内容は変更になる可能性があります)

2016,1/21予定

(遅れる可能性があります)


※ 遅れてます……'16.1/29

※ あと二週間以内に更新します '16.3/1


お楽しみに

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