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operation flags  作者: k.はる
一章 ―新世界(new world)―
4/52

一章・2-2

※'15.09/04 〈ルーピン〉の本名を変更しました。

※'15.11/4 読みやすいよう編集しました。

「おいトカレフ……そいつら、入隊者か?」

「そうだ。このスペツナツズに入隊する最後の2人だ。二人とも経験が全くない新人だからお前らも最初は優しく教えてやってくれ」

「おぉ、ようやく最後か」

「最後‥‥?」

 俺は言った。するとトカレフが説明してくれた。

「この部隊は今まで一ヶ月ほど入隊者を集めていたが、君たちの入隊をもって隊員の募集を停止する。そのため君たちが「最後の2人」ということになる。今は一人いないようだが君たちを入れてスペツナツズの隊員は十人だ。この十人で十日後から始まるOF日本サーバーに参加することになっている」

(十人……)

 思ったより少なかった。最初はこれくらいかと思っていたが、基地の様子をみて「もっといるのではないか」と思ったが最初に思った人数より少し多い人数しかいなかった。

「スペツナツズは十人だが、この基地は《関東派遣部隊基地》だ。我ら第一部隊以外にも、第二、今は第三部隊まである。それぞれ名前はついているがその話はまたあとでだ。じゃ、いつも通り自己紹介とするか」

「俺から行かせてもらうぜ。コードネーム〈ディオ〉の「奥田愼悟」。スナイパーだ」

「俺は、〈ローレンス〉こと「棚岡正治」。対物ランチャー使い遠距離型だ。よろしく」

「ぼ、僕は〈ルーピン〉をしてる「切田ひかる」です。い、一応近距離・突撃型です」

「ったくルーピンの臆病なのは変わんないな。オレは〈タカシ〉。本名「野頭高志」、まんまだろ? アサルトライフルの中距離型だ」

(へぇ~、結構親しみやすい人もいるんだな……)

 部隊の人たちは、怖い人ばっかりだと思っていたけど、そうでもないようだ。

(それもそうだよな。だって『ゲーム』の部隊、なんだから……)

「私は〈シュリンプ〉。こう見えても性別は『女』だ。本名は「折野春菜」で‥‥、装備軽機関銃で近距離型なので…、よろしく。」

「そんでもって、俺が〈トカレフ〉こと「西園寺裕也」。見ての通り機関銃、近距離型だ」

(さすがはコスプレイヤー、装備まで同じにするなんて‼)

「そしてこちらが、我が第一派遣部隊スペツナツズのリーダーの……」

「CapREXだ。名前を明かすつもりはない。武装は、言うまでもなかろう」

 ものすごく威厳を感じるその男はその後、自分に関することは一切話すことはなかった。

「さ、二人も」

 しばしの沈黙を破ったのはトカレフだった。

「えっ?」

「(自己紹介!)」

 疑問に思っていると、霧野が後ろから答えを出してくれた。

「(あっ……)ぼ、僕は‥‥(霧野、コードネームって……?)」

「(そんなの自分で……って、コードネームって自分で決めるのか?)」

「(さあ‥‥)」

「(なんか困ることあったか?)」

「(トカレフさん、コードネームってどうすればいいですか?)」

「(コードネームぐらい自分で決めろ)」

「「(はぁ‥‥)」」

「俺……あっ、僕の名前は「向井信輝」で、コードネームは……〈メリオダス〉でお願いします」

「俺は「霧野ロッテル」。〈ロッテル〉でいいぜ」

「(霧野、緊張しないの⁉それにそんな口調で……)」

「(こんなところでしてたまるか。口調だって、ごまかす必要ないだろ?)」

(そうかもしれないけど‥‥)

 まったく、霧野の行動にはいつも驚かされる。

「よし、本当はあと一人いるんだけど今はいないようだし、まずは主武器と型、決めよっか」

「武器と型、ですか‥‥」

(そんな知識ない‥‥)

「俺、スナイパー志願です」

「わかった。別に偏りもないし、いいだろう」

「やった~。前からやってみたかったんだよな~」

「喜ぶのは早いぞ。スナイパーにはかなりの集中力が必要、そうやって喜ぶ奴はなかなか敵を撃つことができないという統計がある。あまり騒ぎすぎると許可取り消すぞ」

「えっ……あ、はい。わかりました」

 一見落ち着きを取り戻したような霧野だけど、幼馴染の僕が見れば一目でまだ興奮しているとわかる。

「それで、向井君はどうするの?」

「それが、こういうことよく知らなくって‥‥」

「そうか‥‥。それなら俺が決めてもいいか?」

「決めてくださるんですか⁉ でも……、はい。じゃあお願いします」

「よし、それならバランスが取れた方がいいから…。そういえば、この部隊には『超至近距離型』がいないんだよな‥‥」

「『超至近距離型』、ですか?」

「あぁ。別にいなくともいいのだが…ちなみに超至近距離型の役目は主に切込みや特攻だ」

「特攻なんてするんですか?」

「まあ『おとり』の意味合いもあるから、必ず死んでしまうわけではないのだが……」

「それでも‥‥」

「そういえば、この部隊がOFにエントリーしたときに、『10人以上』の条件を満たしていたため、【レアアイテム、武器、装備引換券】を一人一枚ずつもらった。その引換券の【レアアイテム、武器、装備引換】の引換可能アイテム、武器、装備一覧に初期で唯一入手可能な装着型盾【ライオットシールド】があった」

「‥‥どういうことですか?」

「初期段階で手に入る盾は、ほとんどが両手持ち。たまに片手持ちもあるが、とても重くその分盾の陰に入れば防御率は100パーセントなのだが、その盾を装備した人は、ほとんど戦うことができない、『守り』専門の人になってしまう。戦艦でいったら、装甲艦のように火力はほとんどないがその分防御力が強いそういった、『装甲型』という区分に入る。ただ、この【ライオットシールド】はとても軽く、腕に装着することもできる。防御面積が小さいため防御率が下がるが、盾を『副装』として装備できる。そのためハンドガン等の近距離、至近距離、超至近距離型にとってかなりいいものだ。また特攻、切込みを有する超至近距離型は、前から飛び出していっても盾で防御できる。そのためあまりダメージを受けずに堪えることができるのだ」

「つまり、『生存率が上がる』、ということですか?」

「超至近距離型をしてくれる君にとってはそうだ。まあ支援型が装備していても奇襲をされたら防御できないし、そもそも敵が来ることがわかっていたら支援型の火力なら殲滅可能だから、中距離や遠距離型にとってはあまり意味のないものだ。近距離型でも両手持ちの武器を使う場合はつけていてもあまり効果はないから、『君のためにある防具』と言ってもいいだろう」

「俺のため‥‥。でも超至近距離型はちょっと……」

「おいメリ、目が輝いてるぞ」

「メリ?」

「お前のことだよ。《メリオダス》長いから「メリ」って呼んでもいいだろ?」

(‥‥相変わらず霧野は……)

 それでも隠しているつもりだった感情を読み取られてしまった。『幼馴染』だからだろうか?そんなことはどうでもいい、今は決断が必要だ。自分は全く知識がない。そんな自分に勧められたものなのだからやってもいいかもしれない。

「わかりました。『超至近距離型』受け持ちます」

「なら……」

 バタンッ。

 トカレフが話をつづけようとしたとき、急に扉が開いた。そして、慌てるように外から一人の赤毛の男が入ってきた。

「あの、スミマセンッ! 緊急集合ってどうゆうことっすか」

「まあ落ち着け。今日、新入りが二人入隊した。この二人をもって入隊者の募集をやめ、この十人でスペツナツズとすることになった。そこで募集終了の記念、というわけでもないが、第一回作戦会議をすることになった。そのために今日はみんなに来てもらった」

「遅れて申し訳……」

「いや、新入りに説明していてまだ会議は始まってはいない。もうしばらくかかるだろうから少し休んでいていい。みんなは早いわけではなく大半はここで生活をしている者たちだ。決して君が遅いわけではない」

「そうっすか~」

「そうだ。この二人に自己紹介を」

「あ、はい! おらは〈ジン〉。「仁優一」って者で、近距離型っすけど一応〔P90〕装備のデュアラーっす」

「俺は「霧野ロッテル」。〈ロッテル〉って呼んでくれ」

「僕は〈メリオダス〉で、本名は「向井伸輝」です」

「メリって呼んでやれ」

「ちょっと霧野⁉」

「わかったっす。メリ君、ロッテル君、ヨロシクっす」

「おっ、よろしく」

「よろしく……です」

「敬語使わなくていいっすよ。ほら、敬語ってなんか見えない壁みたいの作っちゃうじゃないっすか」

「わかった。ジンさんよろしく」

「よし、紹介は済んだな。この二人にはもう少し説明しないといけないからジンは向う休んでいてくれ」

「わかったっす」

 そういってジンはほかのみんなのいるソファーに向かって歩いて行った。

「それでトカレフさん。次は何の説明ですか?」

「俺に対しては「さん」付け禁止。まあ、今は別に関係ないかもしれないがゲームが始まって戦闘中に「さん」付けしていたら長くなるだろ」

「トカレフさん。実戦経験あるのですか?」

「そ、そんなことあるわけないじゃないか」

「えっ? でもさっきの話を聞くとまるで経験あるかのように聞こえましたが……」

「そ、それは……」

「トカレフ、こいつはゲーム内で実戦経験したことあるのかって聞いてんだと思うが」

「あっ、そういうことか。ああ、あるぞ。まあPCゲームだから今回のOFとは違うだろうがな」

「そうなんだ‥‥」

「あっ、そういえば今も言っただろ、「トカレフさん」って。まあ現実ではそれでもいいがそれに慣れてゲーム内でも「さん」付けはするなよ」

「わかりました」

「それで、俺たちに説明したいことって何ですか」

「いや、もういい。やっぱり今説明しなくてもいいと思い始めた。だから説明はいい。ほら、もう部隊集会始めるから、さっさとさっきの集会スペースまでもどれよ」

 そういって、少し早足でトカレフは扉の外へと出ていった。俺らはついていくことも考えたがまた怒られそうだったためついてはいかず、指示通り集会スペースに行った。

 そしていよいよ、隊員として第一の仕事が始まろうとしていた。


これからは約五日ごとに投稿します。


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