二章・4‐1
メリとロッテルのコンビチュートリアルの場面に入ります。
予想以上に長くなり、この二章・4だけで12450字になっています(Word換算15ページ)。
ですが、それだけで終わらず、二章・5、6もこのコンビチュートリアルになります。
戦闘シーンは長くしてしまいます……。
(今回は短めです)
4
ぽーん。
『コンビチュートリアルに移動します』
その表示が出て約五秒後、俺の体は光に包まれ、転送された。
「ここは?」
目を開くと、目の前に草原が現れた。
だが、広さからして初めの草原ではないだろう。
もう一つ違うところとして、所々に巨大な岩がある。
うん。何かが起きそうな予感しかしない。
「あれ?」
そう予感したとき、変化が起きた。約一キロ先に光の結晶体が生まれた。
その光はだんだん大きくなっていき、人間サイズになったところで粉のように霧散した。
敵かっ!? と思ったが、それは杞憂だったようだ。
「霧野っ!」
そこから現れたのは霧野だった。
俺は霧野に向かって名前を呼んだが、聞こえた様子はない。
どうやら霧野は転送されてきたばかりのようだ。
俺は驚かしてやろうと岩で姿を隠しながら背後に近づく。
そして思いっきり背中をど突こうとして――――、
「…………」
――――誰もいない空に突撃した。
「えっ!?」
そこには霧野はいなかった。
「動い――」
その時だった。
ドゴンッッッ!
「うそ……」
さっきまで身を潜めていた岩が爆散した。
そのかけらが飛んでくるが、さっきの連続投石攻撃に比べれば気にするほどの速さではなかったから放っておく。
そしてただ、もともと岩のあった、今は砂煙のようになって視界が閉ざされているその場所を見つめていた。
「人……霧野!?」
「〈ロッテル〉、な」
「ごめんロッテル……ってそうじゃなくて、何やってるのさ!?」
「そりゃ、仕返ししてやろうと思って」
「えっ……」
どうやらロッテルは俺が脅かそうとしているのに気づいたらしく、それを迎撃しようと……いや、実際迎撃した。
「なんでわかったの?」
「いや、だって表示に出てるからな」
「あ……」
「それで見つけたと思ったらご丁寧にお前さんは背後から近づいてくるし、そんじゃこっちもやりますかって」
「ならないよ!」
「じゃあなんでお前さん――メリは脅かそうとしたんだ?」
「それは……」
いつも霧野にやられてるからじゃん!
って言い返したいけど、でもその前に気になることがあって。
「霧――ロッテル、口調変わった?」
「そりゃ、〈ロッテル〉、だもんな」
やけに名前を強調してくる。
「でももとから名前『霧野ロッテル』じゃなかったっけ?」
「……気にすんな」
しめた。主導権がこっちに回ってきた。今がチャンス!
「ところでさ、ロッテル――」
「いや、今はそれどころではなさそうだ」
――俺より来るの遅かったよね?
そう言おうとしたのに、ロッテルがとめる。
ただ言い負けたくないのかなーって思ったけど、明らかに様子がおかしい。
何やらかなり遠くを真剣なまなざしで見つめている
「……えっ?」
ぽーん。
『チュートリアル『コンビ』を開始します』
ドドドドドドド――
「この音何!?」
「ありゃ、ヌー、だな」
「ヌー!?」
ライ○ンキングかっ!? ……って、そうじゃなくて。
確かにここ見た目はサバンナだけど……。
ぽーん。
『テスト:今からこの場に来るモンスターの群れを倒してください』
「えぇー!」「はぁー!」
俺とロッテルの叫びが重なった。
「ロッテル、大体何匹くらいいるの?」
「そんな数えられるほど少なくねえな。ざっと……50くらいか?」
「それなら、まあ何とか……」
「いや待てよ、向こうからまた影が……」
「何匹!?」
「あ、そっか。始めからこれ見りゃよかったんだ」
そう言ってロッテルは浮き出ている画面を操作、マップを出した。
このマップは、味方、または視認している敵が表示される。
ダンジョンなど一部区域は違うが、フィールドの様子もこれを見ればわかる。
ちなみにダンジョンなどの一部区域は一度見るとその情報がマップに書き加えられていく。ようは他のゲームでもよくあるやつだ。
「えっと、群れが11あって、全部で……ブフッ」
「ロッテル、大丈夫!?」
「ああ。いや、あまりの多さに驚いてな」
そんなに多かったのだろうか。
「何匹?」
「おまえも驚くんじゃねえぞ? 全部でな、1000だ」
「えっ? 今なんて……」
「だから、全部で1000だ」
「セン? セン?? そっかー、センかー……って、1000!? 1000匹ってこと!?」
「最初からそう言ってるだろ」
「いや、でもっ」
「そんじゃ自分で見りゃいいじゃんか。ほら」
そう言って、ロッテルはマップを見せてきた。
「どこ?」
「ほら、この一番左下」
「えっと……これか。一、十、百……ほんとだ。1000だ」
「だろ? はじめの二つが50で、それから10ずつ増えていってる」
「つまり、最後は140匹の群れってこと?」
「そうなるな」
「そんなのっ、無理に決まってるじゃないっ!」
「いや、一言もすべて倒せとは言われてない」
「でも『倒せ』ってそういう意味じゃないの?」
「ここを見ろ」
そういって、霧野は始めに出てきた画面を指さす。
『※倒した匹数と全体の割合で練習内容が変わります』
「個人のにも書いてあっただろ?」
「そうなの!?」
「ったくおまえは……まあいい。今はあいつらだ」
「わかってる。それで、作戦は?」
「おまえは考えないのかよ! ってかそもそもあれしかねえだろ!」
「あれ?」
「ああ。お前が突っ込んで俺が撃つ。それだけ」
確かにコンビを組んだ時から、いやそれ以前にコンビを組む話が、もともと俺が突撃でロッテルがスナイパーだったからであって、その作戦はこのコンビの特徴だと言ってもいいけど、でも、それだけ?
「細かくは?」
「ない」
「ないんだ……」
「ま、基本俺が狙撃するか爆弾で群れが来る前に体力減らしてお前が斬る」
「えっ? 爆弾? そんなのあるの?」
「はあー、お前それも確認してないのかよ……。チュートリアル中だけだけどな、銃弾数無限やお前の〔ジャックナイフ〕が欠けないみたいに補助であるんだ」
「あ、だからどれだけ使っても傷つかないんだ!」
「(……どんな使い方したんだよお前)」
「それで、俺だけがとどめを決めるってこと?」
「いや、群れと群れの間は結構空いている。だし、群れが通り過ぎた後俺は追うようにそいつらを撃つ」
「狙わないの?」
「んなもん無理に決まってんだろ! 止まってんならまだしも動いてるもんをそう正確に撃ち抜けるかっつうの」
「えっ? でもディオさんはできるって……」
「そりゃゲームだし、慣れたらできるかもしんねえけど、でも始めたの今日だぞ? 初めて銃に触ったのも今日だぞ?」
「ああ……そりゃ確かに無理だね」
戦闘、狙撃が初心者って言う以前に俺ら本物の銃さわったの(ゲームの中でだけど)初めてだもんね。
「だろ? つうこって、俺は総数減らししかやらん」
「わかったよ」
「そんじゃ俺は岩上るぞ」
「そういえばロッテルの個人のテストって何だったの?」
「ああっ!? 俺のテスト!? 俺のテストは……落ちてくる葉っぱの狙撃だった」
だからこう性格変わったんですねー。
わかりましたー。
そりゃストレスたまりますよねー。
「ほら、もうすぐ一つ目くんぞ。準備しろ!」
「うん!」
って、そんな同情している暇はない。今は目の前の(まだよく見えないけど)敵に集中しないと!
次回予告 二章・4-2
「多っ」
「言ったろ? 50だって」
「にしても……」
「俺は攻撃はじめるぞ。話しかけるなよ」
「はーい」
(ったく、どこまで気が抜けてんだか……)
そう思いながら、俺は岩をよじ登って狙撃銃――〔SR-25〕のバイポッドを出して岩上に設置、【7.62×51mm NATO弾×20発 マガジン】をメニュー画面操作で呼びを含めて二つ取り出し、一つは装着し、もう一つは銃の隣に置いた。
(3日後 11/22更新)
お楽しみに。




