序章
初投稿で、初めて書いた連載小説です。
おかしな部分があるかもしれませんが、ご了承ください。
また、できるだけ誤字脱字のチェックをしていますが、もしあっても気にしないでください。
※'15,11/2 読みやすいように編集しました。
※'16,1/7 言い回し等編集しました。
その時、銃声が鳴った。
はじめは撃たれたのが自分だとは思わなかった。
「クソッ」
右足から鮮やかな赤色の液が流れ出る。
「おいおい、優勝宣言した奴が初っ端からそんなんでいいのか?」
そこには、まだ煙の出ている銃口を向けながら笑みを浮かべている奴がいた。
「お前は……」
言い終える前に、俺はそのまま倒れた。
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気付けば上空は青空だった。
「あれ? 戦ってた時は夜だったはずなのに……俺死んだのか?」
「いや」
その声は、すぐ近くから聞こえた。
「じゃあなんで……」
「忘れたのか? これは個人戦じゃねえ、団体戦だ。味方内じゃどこにいるかもどういう状態かもわかる、だからお前が撃たれたのを見て助けてやったんだ。ちなみに、アイツは殺っといたぜ」
「よし。……うっ‼」
左手を地面につき起き上がろうとしたが、まだ傷口が痛む。
「無理だ」
上から声がする。
「まだ動くな。そんな状態で戦ったって、倒してくれって言ってるようなもんだ。味方もやられ始めている、そんな無駄に味方を減らしたくない」
「高速修復剤を使えば……」
「あれを使うのはまだ早い。まだ2日目の朝だ。先は長いんだから今は自然と回復していくのを待て」
「そ、そうか……」
俺は単身、敵陣地に潜っていた。自分としては、敵陣に奇襲を仕掛けて2人葬って生き延びたのだから使ってもいいと思ったのだが、チームとして考えたらまだまだ序盤なのだ。
「それにしてもおかしいな」
俺は少し間を置いてから言う。
「ここは敵陣のすぐ近くだ。陣に誰もいないってことはないだろうから、敵の索敵レーダーに引っかかるはずだ。それなのに敵の姿が見えないって妙じゃないか?」
「それは……あっ、これ見ろよ、俺らのいるところのマップ。俺たちのチームカラーの青の円で囲まれているだろ。つまりここは俺らの陣地ってわけだ」
「えっ、陣地に……?」
「あそこ見てみろよ」
彼は丘の上に立っている旗を指した。
「あれは! でもなんで……」
「俺は何しにここに来たんだ?」
「だから、お前は俺を助けに……」
「それであそこは?」
「あそこは……ちょうど敵のいたところ……そうか!」
「そうだ。俺があそこでまだ旗を使っていない敵を倒したから、その旗が俺らのチームカラーになって立っているんだ」
陣地戦をするとき、一人一つ【陣地旗】をもらえる。この【陣地旗】を立てるとその場所から半径50mが自分のチームの陣地となる。【陣地旗】を使用せず所持している敵を倒すとその場所に倒した人のチームの色の【陣地旗】が立つようにできている。味方のマップ上では、陣地となった場所が通常アイコンと同じチームカラーの薄い円が表示される。味方チームの陣地内では、目視認識以外で敵に発見されることがない。また敵が侵入してきた場合マップ上にアイコンが出てくるため、奇襲を回避できる。だから、何かと安心できる場所である。敵は認識している敵、味方は表示されるため、その【陣地旗】を見つけるまでその場所が陣地であることに気づかない。また、敵陣地内では認識していない味方のアイコンがマップからは消えるようになっているため、味方同士で撃ち合うこともある。味方は【陣地旗】を抜くことができる。ただ、抜いた時点で【陣地旗】は消滅してしまう。敵は【陣地旗】を抜くこと、破壊することはできないが、【陣地旗】から出る【陣地円】は『陣地が重なったところは無効化される』という性質があるため、近くに陣地旗を立てればほとんど無効化できる。
「それでも、【陣地旗】を立てたところから移動せずにとどまっていれば、有利であることには変わりない」
「そういうことなら――」
と彼が続けようとした、刹那。
ササッ――
「誰だ!」
彼が構えると同時に、俺も構えた。しばしの沈黙……。そしてそれを打ち破る銃声。
鮮やかな黒髪をなびかせ、〔P90〕を構えた奴が立っていた。
「「リーダー……?」」
そこには俺らのリーダーによく似た、ただ明らかにリーダーではない人物が立っていた。
そして、そいつの望む先に――。
「スカル……! お前も下衆になったもんだな」
トカレフが立っていた。
「久しぶりだな……トカレフ!」
タンッタタタタッタタッ─―
そのまま銃撃戦が始まった。
俺らの前でハイレベルな戦いが繰り広げられる。
その時、リーダー――トカレフが右手で銃を撃ちながら左手でこちらに合図を出してきた。
「あれは、ハンドサイン……『俺を撃て』?」
「いや、『敵を撃て』だろ!」
「そう、だよな」
「リーダーは自分が敵を引き付けている間に敵を撃てと言ってるんだな……!」
「でもこの状態で撃てと……」
そう、俺は今右足をやられている。
「そうだ、リーダーの命令は絶対だ!ってcapREXに教わっただろ‼」
「後ろを見ろ!」
トカレフが言う。
向くと、後ろから軽装兵2人が近づいてきていた。
「チッ」 「フッ」
トカレフの舌打ちと、スカルの笑みが重なった――――






