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#7

 この国は、王都を中心に東西南北の四方位に、一つずつ神殿がある。

 神殿は、それぞれが風地火水の四大エレメントの天使を奉っていて、神殿を囲うように街も発展している。

 俺達が召喚されたのは、東にある風の神殿で、ヴァンパイアの本拠地は北の神殿のさらに北にある山岳地帯らしい。そこから南下して来て、勢力圏を広めている。


 そういうわけで、俺達の最終目的地は北の山岳になりそうなのだが、東の神殿から真っ直ぐ北の山岳へは街道が続いていない。

 街道を離れて荒野を疾走すると、ヴァンパイア以外のモンスターや野党に遭遇する確率が高くなるし、補給の問題もある。

 北の神殿へ向かう街道があるので、それを使って北西へと進む。

 ヤツに追い付くにも、このルートが一番だとアリシアが言っていた。


「この鉄の馬車は速いですけど、暗くなる前に次の街には着かないですよね?今晩は野宿ですか?」


 エミリーが後ろから声をかけてきた。


「別に暗くなっても走れるから、次の街には今晩中には着けるんじゃない?」


 二列目のシートに座っている真田が答える。

 さすがに伊達にずっと運転してもらうわけにはいかないので、運転は交代でしている。今は、俺が運転だ。

 伊達は助手席でタバコを吸っている。


「夜になったら危ないですよぉ。モンスターや野党と出会う確率も上がりますし、道だって見えなくなりますし」

「大丈夫だよ。ライト点ければ道は見えるし、速度を上げれば追い付かれないだろ」


 不安そうなエミリーに、そう答えてやる。

 街灯が無い夜道でも、ハイビームにしてフォグランプも点ければ問題無く走れる。

 この世界には対向車なんて居ないから、気にする必要も無い。

 それでも不安なら、セルシオも出して車列を組めば安全性は増す。


「ライトの魔法じゃ、そんなに先まで見えないですよ!この速さで走ってたら危ないです!」

「魔法じゃないよ。まぁ、後で実際に見れば分かる」


 アリシアは口を挟んで来ないから、車の事は知ってるのだろう。




 日が落ちてしばらくすると、次の街へ着いた。

 ハイビームとフォグランプで問題無く道は見えたので、ガソリンの節約のためにもアルファードだけで進んだ。


「すごいですね!本当に無事に街に着いちゃうなんて!」


 エミリーは、走行中は不安そうにしていたが、街に着くと感動していた。


 神殿のある街と違って道が広くないし、夜という事もあって、アルファードはしまってから街へ入った。

 ゲームだと酒場で情報収集ってのがセオリーだが…。


「どうすんの?まずは宿?」

「宿を取りましょう」


 伊達の問いにアリシアが答え、俺達の先頭を歩いて行く。宿のある方向なのだろう。




 俺達が泊まる宿は、二階建てで西部劇に出てくるような赤レンガで出来た宿だった。規模としては民宿ってとこだろう。

 部屋は男女に分けて二部屋。

 食事は宿の食堂でとった。

 元の世界の洋食とあまり変わらないのには驚いた。


 いったん俺達の部屋に全員集合し、食後の一服を兼ねたミーティングになった。

 煙草自体は、この世界にもあるようで、エミリーも驚かなかった。

 

「あとどれくらいでヤツに追い付くんだ?」


 俺は大天使に貰った紅茶を飲みながら、葉巻に火を着ける。

 葉巻も大天使からの支給品で、ロメオのぺティコロナ。キューバの有名ブランドで、俺の最も好きな銘柄だ。

 異世界に来て初めて味わう一本だ。

 ドライシガーやシガリロはノーカウント。

 ダージリンによく合う。

 リーフティーではなく、ティーバッグを用意してくれたのは、ありがたい。


「東の神殿から北の神殿までは、馬車で一週間くらいです」

「車だと三日くらいでしょうか」


 エミリーの答えをアリシアが修正する。

 何もトラブルが無ければ、明後日の夜に北の神殿に着けるという事か。


 ミーティングと言っても、やる事はハッキリしているので、そんなに話し合う事も無く、早々に解散して就寝する事に。

 相手が夜行性なので、一応、交代で見張りは立てる事にはなったが。

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