#6
神殿の正面で、伊達がスマホから取り出したアルファードに俺達は乗り込んだ。
スマホからアイテムを取り出す時は、カメラから虹色の光が出て、ホログラムの様な感じで実体化する。
アルファードを見た神官達は、かなり驚いていた。
運転は伊達、助手席には真田、二列目のシートには俺、三列目のシートにアリシアと神官が座っている。
「そろそろ自己紹介をしてもらえるかな?」
俺は振り向いて、神官に向けてそう言った。
「はい。僕の名前はエミリー。十六歳。神官です。水属性の魔法が得意で、主に回復魔法を使います。好きな食べ物はオムライスです!」
エミリーはフードを取ると、元気に答えてくれた。
赤髪のショートカットで、大きな目をした可愛らしい女の子だ。年齢よりも少し幼く見える。
「君、女の子だよね?」
「はい!」
真田の質問にも笑顔で答えた。
「こっちの世界にもオムライスってあるんだな」
「食べ物は期待できるかもしれないな」
俺と伊達は、そちらの方が気になった。
食べ物の名称が同じなら、調理法も同じである可能性が高い。
「今度は皆さんの番ですよ!」
エミリーが笑顔で俺達を見る。
仕方ないので、俺から自己紹介する。
「俺は、武田遊。好きなものは紅茶と葉巻」
「真田一郎です。好きなものはアニメと絵を描くこと」
次に口を開いたのは、真田だ。
「伊達昴流。休みの日は打ってる事が多いかなぁ」
伊達はタバコに火を着けながら、運転してるので振り向かずにそう言った。
「打つ?」
エミリーは、伊達の自己紹介が理解できなかったようだ。
この世界にパチンコやスロットは無いだろうから、当たり前だろう。
伊達は説明が面倒なのか、エミリーの疑問をスルーした。
「私の事は、皆さん知ってますよね」
アリシアはそう言って微笑んだ。
一通り自己紹介が終わったので、さっきは確認しなかったショルダーホルスターの拳銃を引き抜いて確認する。
シルバーのベレッタ92FSだ。
エンブレムが翼の様な意匠になっているのは、天使製だからだろうか。
スライドを少し引いて、弾が装填されてるかチェックする。
「それは大天使様からのサービスだそうです。本当は、何とかUSPっていうのが衣装に合うだろうけど、それが使いやすいだろうからって。メンテナンスは必要無いそうですよ」
アリシアが後ろから話しかけてくる。
92FSのガスガンは持ってたから、H&K USPより使いやすいと言えなくはないだろう。
「弾は銀製?」
「銀製のと通常のを用意してあるそうで、銀製のはアイテムに入れてあるそうです」
アリシアの言葉に、アイテム一覧を確認してみると、9mmパラべラムと9mmパラべラム(S)というのがあった。
(S)の方が銀製の弾だろう。
(今のうちに作っておくか)
戦闘になる前に準備は整えておく必要があるので、俺は心を落ち着けて霊力を集中し、掌から放出する。
すると、元居た世界ではあり得ない現象が起きた。掌が光りだしたのだ。
さらに、光を強め、光が日本刀の形になる様にイメージする。
光は日本刀のシルエットになり、徐々に本物の日本刀へと姿を変えた。
「こっちだと本当に物質化するんだな…」
「上手いですね」
驚きつつ、完成した日本刀を確認していると、アリシアが後ろから声をかけてきた。
「物質化は初めてだけど、イメージして作るのは元の世界でもやってからな」
「すご~い!」
エミリーまで身を乗り出して、出来上がった刀を眺めている。
「神官は、こういうのやらないのか?」
「魔力をそのまま物質化できる人は、あんまり居ないですよぉ」
「ふぅん。そういうもんか」
何となく納得して、俺は日本刀をしまう。
「おーい、そろそろ街をでるぞぉ」
真田の言葉に外を見てみると、大きな門と壁が見えてきた。




