#57
「若返るって、まさか高校生とはね…」
改編されてしまった世界での新しい俺は、高校二年生だった。
帰って来たのは、旅立ちの翌日の朝なので、『異世界を冒険する夢を見て、起きたら高校生になっていた』という事になる。
「やりやれだな…」
制服の上着のポケットから、クラブマスター スマトラの缶を取り出し、一本抜いて火を着けた。
久しぶりに生徒として授業を受けたためか、妙に疲れている。
今は放課後で、煙草を吸うために、立ち入り禁止になっている屋上に来ていた。
(これから一人で戦うのか…)
こちらの世界には味方は居ない。誰も改編される前の事を覚えていないのだから。いや、知らないと言った方が正しい。
一人でユキを探し出し、倒さねばならないと思うと、気が重くなる。
「高校生が煙草吸っちゃダメなんですよ?」
突然、背後から声をかけられた。声からすると、女の子だろう。
喫煙しているところを見られた様なので恐る恐る振り向くと、立っていたのは一年生だった。黒髪のツインテールで、目はちょっとつり目気味の、猫の様な雰囲気の子だ。
「アリス…!?どうして…!?」
そこに立っていたのは、どう見てもアリスだった。うちの学校の女子の制服を着ている事を除けば。
「…いや、ごめん。人違いだ」
アリスは、この世界の人間では無い。ここに居るはずが無いのだ。
「人違いじゃないですよぉ。アリスですよ。でも、今日からは、『永倉亜梨子です。よろしくお願いします、先輩!」
この話と次話との間のお話が、『魔法少女のお仕事』になります。




