#53
「ユキが隠れているのは、あの屋敷で間違いないのか?」
「間違いありませんよ」
明智の問いに、ロイドが答える。
俺達は、ロイドの案内で、村から少し離れた場所にある屋敷へ向かっていた。そこに、ユキが隠れているという児とだった。
「随分と豪華だな…」
屋敷に近付くと、荒れた庭園が見えてきた。手入れをされなくなって随分と経つのだろう。
「昔は、貴族が住んでましたからね」
「知ってるのか?」
「その頃は私も村に住んでましたから」
村長の叔父であるロイドは、ここに貴族が住んでいた頃を知っているらしい。
「綺麗な娘さんが居ましてね。それそれは素敵な方でしたよ」
「詳しいんだな」
「そりゃあ、私の婚約者でしたからね。魔獣に襲われて、亡くなってしまいましたが…」
「すまない」
「いいんですよ。昔の話です。仇も討ちましたし。ただ、あの家を隠れ家に使われるのは、気に入りませんけどね」
一瞬、ロイドの瞳が深紅に輝く。
「どうする?」
「どうせ正面から突っ込むとか言うんだろ?」
真田が明智に尋ねたが、明智が答える前に伊達が言い放った。
「それは止めて欲しいですね。あの家は、彼女の墓標なんです。私が誘い出しますから、待っていてもらえますか?」
「分かった」
ロイドの提案を明智が受け入れたので、俺達は待機する事になった。
「シャーリーとエミリーは、俺達の真ん中に来てくれ」
「分かりました」
「はい!」
明智の指示で、二人は俺達の中央に移動する。
「これで、どこから襲われても対応できるはずだ。もし、敵が現れたら、原田さんと本田君は、二人の守ってね」
「分かった」
「おう!」
原田と本田が、明智の指示通り、神官たちの側についた。
「あとは、ロイドが巧くやってくれるのを待つだけか」




