#49
「今日はここで朝になるのを待とう」
廃村まで戻った時には日が暮れていたので、明智の提案で一泊してから先へ進む事になった。
ここも安全ではないのだが、夜の王と戦うにあたって、強行軍で無理をするのは避けた方が無難だ。
原田や島津が負傷した時に使った家以外は、すぐに使える様な状況ではないし、なるべく全員で固まっていた方が安全なため、女性陣は家に泊まり、男性陣は家の前に停めた車で眠る事になった。
「何だかんだと、ここも拠点みたいになってるな」
「そうだねぇ」
バンの中で、伊達と真田がタバコを吸いながら、感慨深そうに話している。
「やっぱり、ゲームとかだと、どこかの街とか拠点にして進めるんでしょ?」
真田が、俺の方を振り向く。
「さぁ?俺、ゲームはあんまりやらないから、よく分からないよ。なんか、酒場とかに居そうなイメージだけど」
俺は二列目のシートで葉巻を吸っている。ロメオのペティコロナだ。
「そんなの古いゲームか西部劇くらいじゃないの?」
真田が運転席から言った。
「最近はどうなの?」
車内で最年少の本田に声をかける。
「知らねぇよ。ゲームなんてやらねぇし」
後ろから、面倒そうに返事が返ってきた。
今、見張りの当番は伊達と真田で、俺と本田は休憩中だ。明智も休憩中なのだが、ここには居ない。
「さいですか」
葉巻と一緒に楽しむために淹れた紅茶を飲む。アウトドア用のステンレス製マグカップというのが、少し味気無いが。
翌朝、廃村を出発した俺達は、回り道になるが医者が居た街で一泊してから、夜の王が居る村へと向かった。
「見えてきたぞ」
久しぶりに見る村は、前に滞在していた時と違いは無い様に見える。
「一応、用心して、車から降りて行こう」
「分かった」
明智はハザードを点灯させて、車を停めた。
横に並ぶ様にして、伊達の車も停まる。
車を降りた俺達は、周囲を警戒しながらゆっくり村へ入って行く。
「普通に人も居るし、変わらない様に見えるけど…」
真田の言う通り、村人の姿もあり、村の中もおかしな様子は特に無い。
「とりあえず、村長の家へ向かってみるか」
明智は、新たに取り寄せたスペクトラを取り出すと、村長の家へと歩き出した。




