#45
「アリス、君は…?」
深紅に輝く瞳は、魔力を宿した闇の眷属の証。
「こんなところで真祖に会えるとはな。楽しませてくれよぉ!」
長髪の男の声に視線を戻すと、こちらに向かって駆け出すところだった。
「ハッ!」
かけ声を発して、アリスが俺を飛び越え、前に出た。
着地した彼女の両手から紅い光が伸び、二振りの細身の剣に姿を変える。魔力を物質化したのだ。
「ほほう!」
長髪はニヤリと笑いながら、アリスに飛びかかる。
紅い光の軌跡が二筋煌めいて、長髪の両腕が肩から離れ、宙を舞った。
アリスの双剣が、男の両腕を斬り飛ばしたのだ。
あまりのスピードに、目で追うのが精一杯だった。
「なにぃ!?」
長髪は、驚愕の表情で両肩から血飛沫を上げている。
アリスが、スカートをひかめかせながら独楽の様にクルリと一回転すると、再び紅い光が煌めいて、長髪の首が落ちた。
長髪は灰になって崩れていく。
「終わりましたよ」
アリスはこちらへ歩み寄りながら、ちょっと寂しそうに微笑んだ。気がつくと、瞳は元に戻り、双剣も消えていた。
「お疲れ様」
アリスに歩み寄り、頭を撫でる。
「私が怖くないんですか…?」
「その質問、俺もしたなぁ…。助けてくれたのに怖がるわけないだろう?それに、アリスはアリスだろ」
「はい」
「まずは明智の様子を見に行こう」
礼拝堂に入ると、中央の祭壇の上に原田が横たわっていた。
明智は祭壇に寄りかかり、座り込んでいる。
「大丈夫か?」
「あぁ」
明智は片手を挙げて応えた。
「ユキは居なかったのか?」
周囲を見回してみても、人影は無い。
「魔法で逃げられた。AKもバッサリやられたよ」
明智が指差す先に、銃身が真っ二つになったAK47が転がっていた。




