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#43

 葉巻の大部分が灰になり、灰皿に捨てようかという時になって、明智と本田が車へやって来た。本田には、伊達達が先発する旨を伝言してもらったのだ。

 ユキの姿は無かった。


「おかえり」


 そう言って、葉巻を捨て、エンジンをかける。


「聞いてくれよ~!何が何だか分からないよ、もう…」


 助手席に乗り込んできた明智によると、ユキは一度は明智達の前に姿を現し、自分の方を見てくれない明智に腹を立て、ヴァンパイアになったと語った。明智を咬んで、自分のものにするために。

 片想いの末に強行手段に出るとは、とんだヤンデレだ。

 ユキは、明智に考え直す猶予を与えると言って、去ったらしい。


「モテる男は辛いねぇ」

「勘弁してくれよ」


 俺が茶化すと、明智は頭を抱えた。

 他のメンバーは、あまりの事に声もぬ出ない様だ。

 ユキを待つ必要が無くなったので、明智から聞いた話を真田達にメッセージし、車を出す。


「とりあえず、これでも吸いなよ」

「すまん」


 明智にダンヒルのコロナとシガーカッター付きのアーミーナイフを手渡すと、吸い口をカットして吸い始めた。




 結局、一時間程度の遅れで真田達に追い付く事ができた。こちらにはケガ人が乗っていないので、スピードを出せたからだ。


「相手は西の勇者三人に、北の神官、前に街で襲って来た奴も居るし、かなりマズイよねぇ」

「だね。こっちはケガ人も居るし」


 伊達と真田が難しそうにしている。

 合流した俺達は、宿の食堂で話し合いをしている。


「悪い、言い忘れてたけど、西の勇者は一人倒した」

「ブラボーチームの残りは二人って事か」


 明智が俺の言葉を補足する。


「倒したって、お前、いつの間に?」

「どうして黙っていたんですか!?」


 真田とシャーリーにツッコまれたので、昨晩の事をかいつまんで話した。俺の能力に関しては省略して。


「そんな事がねぇ」


 伊達がタバコを吸いながら、伸びをする。


「さすがは勇者様のお仲間ですね!」


 エミリーだけには好印象の様だ。

 アリスは、口を滑らせないようにか黙っている。


「神官って言えばさ、西の勇者にもお付きが居たはずでしょ?その人はどうなったのかな?」


 真田が気付いた事実に、全員が静まり返る。


「裏切ったか殺されたか、だろうな…」


 当然の予想を口にする。無事な可能性は恐ろしく低い。


「という事は、今、味方の神官は、エミリーとシャーリーの二人だけだね」


 伊達の言う通りだ。


「バックアップを受けられそうなのは、東の神殿だけって事か。まぁ、俺達はもともと東の神殿に喚ばれたから良いとして、問題は本田達だよな…」


 そう言って、本田の方を見る。

 神官の欠けた本田達は神殿のバックアップを受けられない可能性が高い。そうなれば、この世界の情報や旅費に困る事になる。ヴァンパイアを倒しても、手に入るのは大天使からのお取り寄せに使えるポイントだけだからだ。


「俺達と行動するか?」


 明智が声をかけると、本田が頷いた。


「じゃあ、今から本田達は、東の勇者ブラボーチームだ」


 明智が笑顔で宣言し、本田の背を叩く。明智なりに元気付けているのだ。


「だってさ。よろしく」

「仕方ないですね」


 伊達の言葉にシャーリーは頷いてくれた。


「改めて、よろしくお願いします!」


 エミリーも異議は無いようだ。


「神官様の許可も貰った事だし、まずは当初の予定通り、街へ移動しよう。後の事は、原田達が回復してからだ」


 話し合いはお開きになった。

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