#42
俺達が宿まで戻ると、明智が入口の前に立って、煙管を吸っていた。
「どうだった?」
俺達の姿を見て、明智が声をかけてきた。
「いや、見付からなかったよ。そっちは?」
明智は力無く首を左右に振った。
「戻って来るかもしれないし、中で待とう」
結局、その晩、ユキは戻って来なかった。
「そろそろ出ないとなんだけどなぁ…」
翌朝、俺達は村の外で車を呼び出し、出発の準備を整えて待機していた。
ユキが戻って来ないか待つために、本来、出発予定だった時間を大幅に越えていた。しかし、真田の言う通り、これ以上は待てない。
「どうする?誰か残って待つ?」
「明智は待つって言うだろうなぁ。今も宿屋の前で待ってるくらいだし…」
伊達の提案に、真田が諦めたように答えた。
「じゃあ、伊達の車にケガ人と医者を乗せ替える?」
「いや、そのままでいいんじゃない?」
三人で話し合った結果、明智のバンでケガ人と医者を先に移動させる事になった。乗車人数の関係から、伊達のアルファードを借り受ける。
明智とユキを待つ居残り組は、俺、アリス、シャーリー、本田だ。
先発隊が出発し、俺達は車内で待機していた。
「勝手に居なくなるなんて、神官の使命をなんだと思っているんでしょうか…」
厳しい意見だが、シャーリーの言う事はもっともだ。
「まぁ、ユキが戻って来るか、明智の気が済むまで待つしかないでしょ」
葉巻を一本取り出して、吸い口をカットし、火を着ける。すぐに動く事は無いと踏んで、ダンヒルのコロナをにしたのだ。




