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#3

 渡されたアプリは、物資を注文する機能の他に、メッセージ機能、カメラで撮った物をデータに変換して格納する機能、データ化された物を物質化させる機能が備わっていた。


「武器は揃えてくれないのか?」


 いくら魔法の様なものが使えるからと言って、手ぶらで冒険するわけにもいかないだろう。


「武器なら霊力を物質化して作ればいいでしょう?わざわざ普通の武器が必要とは思えないけど?それに、メンテナンスとか出来るのかな?」


 彼は悪戯っぽく微笑みながら、紫煙を吐き出した。


「それもそうか。霊力を物質化した武器ならメンテナンスフリーだしな」

「そういう事。あぁ、そうだ。車の方はメンテナンスフリーにしておくよ。向こうで自動車のメンテナンスなんて不可能だから。ガソリンタンクの容積は魔法で大幅に増量して、満タンにしておくから」

「そいつはどうも」


 ガソリンが大量に入るのは、ありがたい。


「ガソリンもアプリから注文できるのか?」

「勿論。ただし、注文にはポイントが必要だからね」

「ポイント?」

「そう。向こうの通貨を変換して手に入れたり、敵を倒したりしたら貯まったりするよ」

「異次元から届く通販だとでも考えればいいって事か?」

「そういう事。まぁ、向こうに無いものは、君の世界の相場に大体合わせておくよ。と言っても、例えば銃火器なんかは日本の相場ではバカ高くなっちゃうから、その辺は調整するよ」


 たしかに、何もかもが日本の相場だったら厳しいものがある。

 日本は物価が高い国だし、武器の類いはほとんど違法だから…。


「物資は、向こうに着いたらスマホに転送しておくから。煙草は、普段、君が吸ってるドライシガーやシガリロ、紙巻きと、サービスでプレミアムも入れておいてあげるよ。一ヶ月では吸いきらないくらいの量をね。」

「随分とサービスが良いんだな」

「喫煙者仲間だからね。煙草が無い人生は寂しいじゃないか」


 ありがたい話だが、ここまでサービスが良いと逆に不安になるな。


「それで、結局のところ、勇者様のお手伝いってのは何をするんだ?魔王でも倒すのか?」

「魔王ねぇ。魔王じゃないけど、似たようなものかな。相手はヴァンパイアだよ」

「マジかよ。異世界でヴァンパイア狩りとは…。向こうのヴァンパイアは、どんな奴なんだ?咬まれるとウイルスで感染するとか?」


 これじゃ勇者様ご一行じゃなく、ヴァンパイアハンターだな。


「ウイルスなんだけど、微生物とかではなく呪詛みたいなもので魂を変質させる。で、魂の変質に従って、肉体も変質する」

「紫外線、銀、ニンニクなんかは効くのか?」

「紫外線は個体差があるね。銀は有効だけど、必殺の武器というよりは銀アレルギーに近い。銀に触れた場所は壊死に似た状態になるから傷が回復しない。けど、壊死が広がる前に傷口抉り取られたりしたらアウト。元気な組織が回復を始める。ニンニクのエキスを濃縮したスプレーなんか顔に吹き掛けられたら、人間だってツラいだろう?」


 たしかに、ニンニクのエキスは防犯スプレーの成分にも使われるって聞いた事がある。

 紫外線が有効とは限らないなら、昼間でも襲われる事があり得るな。

有効そうなのは銀だけか…。


「銀製の武器で急所を攻撃するしかないなんて、かなり厳しいな…」

「そうでもないさ。ヴァンパイアの弱点は脳と心臓だから、どちらかを破壊してやればいい。例えば、手榴弾を口に突っ込んで爆発させたり、爆撃機の空爆で粉々になっても死ぬ」

「どっちも無理だな。ヴァンパイアに手榴弾食べさせるなんて、パワーとスピードが圧倒的に勝ってなきゃ難しい。人間にそれが可能なら、ドラゴンと戦うようなファンタジーの世界の住人が、よその世界から助っ人呼ばないだろ。それに、爆撃機なんて操縦できないし、高度な政治的判断とか言って街ごと消し飛ばすわけにもいかないんだろう?」


 消し飛ばせたら楽そうだが。

 映画だと、よく大統領がやってるよな。核とかプラズマテルミット焼夷弾とか。


「たしかにね。たまに、広範囲の魔法で街ごと焼き払う王も居るけどね。セオリー通り、銀の武器や弾丸で脳か心臓を破壊しても良いわけだから。そして、魔力を込めた攻撃や通常兵器でもダメージが通れば倒せるよ」

「ダメージが通れば?」

「ヴァンパイアにはクラスがあって、そのトップ、真祖とか主人とか呼ばれるクラスは魔力が強いから、簡単にはダメージが通らないんだよ」


 アニメとかで見る真祖みたいな感じなんだろうな…。

 だとすると、かなりヤバイ。


「真祖は、紫外線もほとんど効かないしね。次のクラスが、下僕とか従者と呼ばれるヴァンパイア。まぁ、一般的なヴァンパイアだね。人間が血を吸われて感染してなるやつ。真祖程ではないけど、人間よりは強い魔力を持ってる。でも、紫外線は効くよ。太陽の光を浴びると灰になる」


 洋画に出てくるヴァンパイアのイメージか。

 それでも雑魚ってわけにはいかないだろう。


「最後が奴隷。見た目はゾンビだね。知能も低いし、魔力も無い。基本的には、ヴァンパイアに血を吸われて死んだ死体が変化する」


 ゲームや映画でよく見る、最近のゾンビのイメージだな。


「真祖と下僕にも誕生の仕方に違いがあるのか?」

「真祖は、真祖の子供だよ。純血でもハーフでも真祖。下僕は、真祖か下僕に咬まれた人間。ゾンビに咬まれるとゾンビになっちゃうからねぇ」


 真祖には生殖機能があるって事か。

 吸血以外の方法で増えるヴァンパイアが居るとは…。


「さて、説明はこのくらいかな。そろそろ冒険に行ってもらおうかな」


 彼が右手に持った葉巻で大きく円を描くと、煙が魔方陣を形作った。

 そして、その魔方陣が目の前に迫ったところで、俺は意識を失った。

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