#38
「私も連れて行ってください!」
翌朝、少女が目覚めたので、倒れていたところを連れて来て医者に診せたと説明した。それと、仲間が待っているので、俺達は朝のうちに出発する事も。しかし、行き先を尋ねられたので、北に向かうと答えたら、少女は同行したいと言い出した。
「いや、そう言われてもね、俺達には寄り道してる余裕は無いし、君を送ってはあげられないよ?」
「北へ行ければ大丈夫です!お願いします!」
少女は全く引く様子が無かったので、伊達とシャーリーを呼んで、相談する事にした。
「私は反対です!私達が向かうのは危険な場所なんですよ!」
「でも、俺達が断っても、この子は一人で北へ向かおうとするんじゃないの?それでまた倒れられてもねぇ。一人増えたところで車的には問題無いし、乗っけてとっとと出発しよう」
シャーリーに伊達が反論した。
「乗せてこうなんて言うとは意外だね」
「お前が面倒見るんだよ。拾ってきたんだから、責任持てよ」
伊達がニヤリと笑う。
「どうなっても知りませんからね!」
「ありがとうございます!」
不機嫌なシャーリーとは対照的に、少女は嬉しそうだ。
車を走らせながら、俺達の目的地、旅の目的を話し、危険についても説明した。話の内容的に自己紹介も必要だった。
少女は、車には驚いていたが、話の内容自体に怯える様子も無く、自身の事も話してくれた。
少女の名は、アリス。十七歳。北の勇者を探して旅をしていたそうだ。ヴァンパイア退治の旅について行くために。
アリスの格好は、黒いマントを羽織り、黒い上着に白いブラウス、胸元には赤いリボン。黒いミニスカートに膝まであるブーツとニーハイソックスを履いていて、旅人と言われれば、そう見えなくもない。
しかし、徒歩で一人旅をしているというのは、ちょっと引っ掛かる。
アリスはちょっとつり目気味で可愛い容姿をしている。雰囲気は猫の様だ。こんな少女が一人で旅をしていれば人目につくだろうし、危険な目にも合いそうなものだ。
「今まで危険な目には合わなかったの?」
伊達がアリスに尋ねた。
今は俺が運転しているので、二列目のシートには、伊達とアリスが座っている。
「はい、特には」
アリスが屈託無く答える。
バックミラーに写る伊達は、何やら思案顔だ。たぶん、俺と同じ疑問を抱いているのだろう。




