#35
俺達が二階へ駆け付けると、そこは酷い有り様だった。
壁は穴だらけで扉は吹き飛んでいる。
銃弾が飛び交い、階段を昇ったところから奥へ進めない。
明智と原田も手前の部屋の入り口に釘付けにされている。
廊下の奥の部屋に居るだろう相手は、フルオートで撃ってきていた。
「どうするよ?」
真田が困り顔で訊いてくる。
「どうしたものかな…。相手が弾切れしてくれれば、せめて明智達と合流する事もできるんだが…」
俺達が悩んでいると、家の外からも銃声が聞こえてきた。そちらもフルオートだ。
「マズくね?」
「戻ろう!」
俺達は急いで階段を降り、玄関へ向かった。
玄関から外を見ると、サブマシンガンを持って迷彩服を着た男が二人、馬車の前方と後方から攻撃していた。お互いが射線に入らないように上手くポジションを取っている。
伊達と島津も応戦しているが、サブマシンガン相手には分が悪い。
「援護しよう」
真田がベレッタをしまって、リボルバーを右手に持ち替えて撃ち始めた。
俺達の位置から男達までの距離は、拳銃で狙うには微妙な距離だ。しかし、真田のリボルバーは銃身も長く口径も大きい。拳銃としてはかなり長い射程距離がある。それに対して俺のベレッタは大天使が用意してくれたからといって、射程が長いわけではない。使用する弾が9mmだからだ。現に、真田もベレッタは使っていない。
「悪いけど、こっちは任せる。俺の銃じゃ届かない。上に行ってくる」
「あいよ」
真田の返事を確認して、俺は再び階段を駆け上がる。
二階の膠着状態は変わっていない。
「原田さん、ダメだ!」
奥の部屋からの銃撃が止んだ瞬間、原田が廊下に躍り出た。
それを狙っていたかの様に、銃撃が再開する。
明智が原田の腕を掴んでを引き戻していたが、無傷というわけにはいかないだろう。
原田をこのままにはしておけない事を考えると、膠着状態はマズい。
俺は階段を駆け降りて、食堂へ向かった。
食堂に着くと、レミントンに装填されていたショットシェルを全てスラグ弾に入れ替える。
(この辺のはず)
食堂の天井に向けてスラグ弾を次々に撃つ。
二階の奥の部屋の扉付近を下から銃撃した。この世界の木造の家なら、スラグ弾で一階の天井を撃てば、二階までぶち抜けるはずだからだ。
(これでどうだ?)
スラグ弾を全て撃ち切る前に、二階から窓の割れる音がした。
二階からの銃声が止んだ。




