#34
「お前、西の神殿の勇者か!?」
食堂へと続く扉を開けて中を覗くと、サファリジャケットを着た短髪の男が壁際に居た。壁に背を預けながら、窓の外を窺っている様だ。
行方不明になっている西の勇者の一人と特徴が一致する。
真田の声に男が反応し、こちらを向いた。
男の瞳が深紅に輝く。
パァン!
左胸に衝撃が走った。
男に撃たれたのだ。
あまりの激痛に、思わず膝をついてしまう。
「何してんだよ!?」
真田が右手のベレッタを男に向けて撃ちながら叫ぶ。
俺も片膝をついたままの姿勢で、左手の銃を撃つ。
男は窓を突き破り、外へ出た。
「大丈夫か?」
「あぁ」
弾はコートの携帯灰皿に突き刺さっていた。
ボディーアーマーも着ていたおかげで、骨も折れたりはしていなそうだ。
「アリシアに助けられたよ」
真田に銃弾の突き刺さった携帯灰皿を見せる。
「ラッキーだったな。あいつの銃、デカいリボルバーだったから焦ったよ…」
真田が大きく息を吐く。
俺は、先程の男が破壊した窓へ近付き、外を見る。
男は家の庭から馬車の方へ銃を撃っている様だ。庭の木の辺りでガンファイアが見える。
馬車からは、伊達と島津が応戦している。
「炙り出してやる」
左手の銃をホルスターにしまい、ショットガンにスラグ弾を装填する。銃身下部から装填したので、二発目に発射される事になる。一発目は薬室内の散弾だ。
バン!
男が隠れている木の辺りに、散弾を撃ち込む。
散弾が幹を抉る。
男が木の陰から横っ飛びに飛び出して、草の伸びた庭に腹這いになる。
その位置なら、こちらからは丸見えだ。
真田がベレッタとリボルバーを男に向けて、撃ちまくる。
男はゴロゴロと横に転がって弾を避けた。
何発かは当たっているはずだが、脳か心臓で無ければ致命傷にはならない。
真田の銃撃が途切れた。弾切れだ。
その瞬間を狙っていたかの様に、男は立ち上がり、こちらを向いた。
「残念!」
そう大声で言いながら、俺は男の左胸を狙って、レミントンの引き金を引いた。
銀製の芯が仕込んであるスラグ弾を左胸に喰らい、男は血飛沫を上げながら倒れて灰になった。
見えるかどうかは分からないが、伊達の方に向かって親指を立てる。
「あとは、二階だね」
真田がリボルバーに弾を込めながら言う。すでにベレッタのマガジンは換えたようだ。
「行くか」
その時、二階から銃声が聞こえ始めた。




