#33
「まるでゴーストタウンだな…」
短くなった葉巻を携帯灰皿に捨てて、携帯灰皿を内ポケットへ入れる。
村へ近付くために、レミントンを取り出しているので、いつもは携帯灰皿を入れているコートのポケットは、予備のショットシェルでいっぱいだからだ。
「前にヴァンパイアの根城になってた村みたいだな」
伊達が感想を口にする。
「止めてくれよぉ。不吉な事言うなよ」
真田が嫌そうな顔をしながらも、リボルバーを構えて、周囲を警戒する。
「でも、たしかにあの村の雰囲気と似ていますね」
原田も俺達と同じ意見の様だ。
「ヤバイですかねぇ」
「吸血鬼をやっつけに来たのに、ビビってどうすんだよ!」
怯える島津を本田が叱責する。
「どうした、明智?」
「なんか、落ち着かないんだよ。誰かに見られてるような…」
明智の返事はハッキリしない。しかし、俺も視線を感じる気はしていた。人の気配のしない村なのに。
「明智さんもですか。私も、先程から視線を感じます。それと、僅かに殺気も」
原田は、俺達よりも感覚が鋭いらしい。さすがは武道家の娘。俺は殺気までは感じない。
「ぐあっ!」
明智が呻き声を発して倒れた。
同時に、乾いた音が響く。
「明智!」
「明智さん!」
俺と真田、原田が、明智に駆け寄る。
明智を抱き起こすと、ヘルメットに潰れた金属片がめり込んでいる。
パァーン!
再び音が鳴り、松永が左肩を押さえて倒れた。
「隠れろ!」
伊達が叫んだのを合図に、全員が遮蔽物になる物の陰に隠れる。しかし、全員が同じ場所に隠れられたわけではない。
俺と一緒に明智を運んだ真田、原田とは同じ建物の陰に隠れる事ができた。
伊達、本田、島津は、馬車の陰に隠れたようだ。
松永の姿が見えないが、道を挟んで向かい側の建物に向かって血の痕が続いてるから、そこに隠れたのだろう。
伊達が馬車の中に入って行ったのが見えた。どこかから銃撃を受けていると判断して、神官達に伏せるように指示しているはずだ。
「明智さん、大丈夫ですか!?」
「いってぇ~」
原田がヘルメットを脱がして声をかけると、明智は頭を振りながら上半身だけ起き上がった。
「ヘルメット被ってて良かったよ。お前らも被った方が良いぞ」
弾はヘルメットで止まっていた。
明智は原田からヘルメットを受け取って被り直すと、姿勢を低くしたままAK47を構え、俺の隣まで近付く。
「スナイパーか?」
「たぶんね」
「位置は分かる?」
「こちらを狙撃できそうなのは、あの家の二階の窓ぐらいかな」
馬車を挟んで向こう側にある一軒の家を指差す。
二階にも一階にも、窓に人影は見えない。
「分かった」
明智は少し身を引くと、スマホを取り出した。
何か策があるのだろう。
「援護してくれ!」
叫んで明智が飛び出した。
左手で拳銃を抜き、スナイパーが潜んでいると思われる民家へ向けて撃ちまくる。
明智の方をちらっと見ると、地面に片膝をついてRPGを構えていた。
(何て物を…!)
思っているうちに、明智は二階の窓へ向けて発射した。
命中した窓付近が爆散する。
明智は、AK47に武器を持ち直して、黒煙を 上げている民家へ走り出した。
「無茶苦茶するなぁ」
リボルバーを左手に持ち替えて、ベレッタを後ろ腰から引き抜きながら真田が続く。
俺も右手にショットガン、左手に拳銃を持ったまま続く。
「突入!」
明智がドアを蹴破った。
玄関から浸入した俺達は、周囲を警戒する。
原田もついて来ている。
「相手が銃を持ってるとヤバイ。一気に制圧しよう」
「じゃあ、一階と二階で二手に別れる?」
明智に真田が尋ねる。
「そうだな。火力的に、俺と原田さんが二階、真田と武田は一階をよろしく」
「了解」
「はい」
「分かった」
俺達はこの建物の制圧するために行動を開始した。




