#31
ダテさんが焼いてくれたお肉は、とても美味しかった。
金属製の箱の様な物を使って、焼いてくれた。
ダテさん達の世界の料理で、『バーベキュー』というらしい。
ダテさんのおかげで美味しい夕飯を食べた僕達は、食後にお茶をしながら明日の予定を話し合って、鉄の馬車の中で眠る事になった。
サナダさんとシマヅさんが、外で見張りをしている。
「なんだあれ!?」
夢の中へと旅立とうとしていた僕の耳に、サナダさんの叫びが聞こえた。
起きて、馬車から出て行くと、すでに男性陣は外に揃っていた。
女性陣も僕と一緒に馬車から出て来たけど、シャーリーだけがまだ眠そうに目を擦っている。寝起きが弱いなんて意外だ。
「こっちに近付いて来るぞ!」
アケチさん(勇者様と呼ぶのは本人に嫌がられた)が指差してる方向を見ると、赤い光の玉が僕達の方に飛んで来ていた。
タケダさんがショットガンという大きな銃を構えている。
ハラダさん達も武器を取り出し始める。
赤い光は、僕達の前に停止すると、綺麗な女の人に変わった。真っ赤な癖の強いロングヘアで、真紅の瞳、アン様程ではないが凄くスタイルが良い。白いワンピースを着ている。
彼女は、僕達を見て頷くと、口を開いた。
「私は名は、アミナ。天使だ。お前らに伝えなきゃならない事がある」
アミナ様のお話は、南の神殿に召喚された勇者様達が全滅したという内容だった。
南の勇者様達は、僕達よりも先に北の山岳地帯へ向かい、夜の王の城まで辿り着いたものの、現れた夜の王に倒されてしまったらしい。
南の神殿は、火の天使様をお祀りしているので、南の勇者様を見守っていたアミナ様は火の天使様だ。
アリシア様とアン様は、風の天使様だ。
「お前達に頼む義理じゃないが、うちの奴等の仇を取って欲しい。志半ばで逝っちまったけど、イイ奴らだったんだ…」
アミナ様は、悔しそうに目を伏せた。
「南の勇者は全滅したんだろ?俺達にできるのか?」
タケダさんが葉巻の煙を吐き出しながら、アミナ様に訊く。
「分からない…。けど、お前達にやってもらうしかないんだ…。実は、悪い報せはもう一つある」
アミナ様が言い辛そうに続ける。
「西の勇者達が行方不明になった。大地の神殿のさらに西側にある砂漠の街へ向かった後、足取りが掴めないんだが、おそらく…」
「M.I.A.って事か…」
タケダさんが意味の分からない言葉を呟いた。
「えむあいえー?」
「俺達の世界の言葉で、作戦中行方不明の略。遺体は確認してないけど、たぶん戦死でしょって意味だよ」
僕の疑問に、タケダさんが答えてくれた。
「東西南北の順に勇者チームを呼称すると、ブラボーチームが消息不明、チャーリーは壊滅、アルファとデルタのみ健在って事ですね」
シマヅさんが、腕を組んで難しい顔をしている。
「派遣したチームの半数が壊滅となれば、実質、作戦は失敗なんじゃないの?」
ダテさんは煙草に火を着けながら、アミナ様に言った。
「ところが、司令部の決定は、残ったアルファチームとデルタチームでの作戦の継続だそうで」
タケダさんもアミナ様を見る。
「仕方ないんだ。お前らには悪いが、これ以上は勇者を召喚できない。一つの神殿が召喚できる勇者は四人までと決まってる」
アミナ様俯いたまま答えた。
「何でもいいから乗り込んで行って、一発ぶん殴って、誰に喧嘩を売ったか教えてやろうぜ!」
ホンダさんが何かを吹っ切る様に叫んだ。
「俺達は、そんなやり方はしないよ。ちゃんと作戦立ててから動く」
タケダさんがホンダさんを宥める。
「誰が作戦立てるんだよ、師匠?」
「明智だよ」
タケダさんが、アケチさんを親指で指す。
「何でもいいから乗り込んで行って、一発ぶん殴って、誰に喧嘩を売ったか教えてやるんだ!」
アケチさんは、葉巻の煙を吐き出すと、そう言ってニヤリと笑った。




