表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/61

#29

 村に滞在して二週間が過ぎた。

 原田達の怪我は、神官の回復魔法もあり数日で癒えていたのだが、戦闘訓練に原田、本田、島津が加わったために滞在が延びていた。

 原田達の家に出入りしていた明智が、本田や島津とも意気投合し、仲良くなってしまったのだ。

 神官のスノウにまで懐かれていた。

 今では、本田と島津は明智から空手を習っていて、原田とスノウも含めた五人でよく会話をしている。

 何故か、本田の剣の指導は俺に押し付けられた。日本刀と西洋の剣では扱い方が全く違うというのにだ。何とか過去の記憶を頼りに教えてはいるが、型とか知らないので難しい。

 伊達は、シャーリーから魔法を教えて貰っている。直接的な戦闘よりも性格的に支援向きと自身で判断したのだろう。

 真田は訓練の合間に、よくエミリーと遊んでいた。恋人というよりも叔父と姪みたいな雰囲気だ。

 そんな感じで皆が打ち解けていく中で、松永だけが俺達と会話をしようとせず、北の勇者チームとだけ会話をしていた。俺達の事を嫌っているのがありありと分かる。


「なぁ、どうにもこの剣は使いづらいんだが、その刀貸してくれないか?」


 突然、本田がそんな事を言ってきたので、試しに俺の刀を使わせてみると、本田の動きが見違えるように良くなった。

 バスケの動きに慣れている体には、切り返し等がしやすく連続で動きやすい刀の方が合うのだろう。


「それ、やるよ」

「マジかよ!ありがとう、師匠!」


 本田にそんな風に呼ばれたのは初めてだった。現金なヤツだ。

 しかし、刀を使う事で彼の生存率が上がるなら、良しとする。

 彼らはすでに一度死んで、この世界へ来ている。もう一度死なせるのは忍びない。


(新しく作るか)


 その晩、俺は新しく愛刀となる刀を作った。




「いつまでここに居るんだ?」


 村に来てから約一ヶ月が経ったある日の晩、俺は明智に問いかけた。


「そろそろ動いても良いと思うよ。特訓の成果も出てるし」


 真田は、アメリカンスピリッツに火を着けながら言った。

 今、俺達は借りている家の食堂に集まっている。真田、明智、伊達、エミリー、シャーリー、俺の六人で、原田達は居ない。


「うーん、そうねぇ。そろそろ動いても良いかと思うけど、どこに行く?」


 明智は煙管でトン!と灰皿を叩き、灰を落としながら言った。

 明智の煙管も煙管用の刻み煙草の小粋も、俺が取り寄せた物だ。

 明智は、昔から煙管が好きだったが、自分で発注はできないので、代わりに俺が発注した。

 パイプもパイプ煙草、手巻き煙草用の刻み煙草も発注したが、さすがに手巻き煙草の紙やローラーまでは発注していない。手巻き煙草用の刻み煙草は、煙管で吸う事ができるからだ。

 ちなみに、自分用には、ドライシガーとシガリロしか発注していない。


「いきなりラスボス倒すのもアリなんじゃない?」


 伊達が煙草を灰皿で揉み消しながら言う。


「山登りかぁ…」


 俺は、ドライシガーの灰を灰皿の縁で折るように落としながら言った。


「そんな嫌な顔するなよ」


 明智にツッコまれるが、そんなに嫌そうな顔をしていただろうか?

 まぁ、実際のところ、山登りは好きではない。


「あの~、夜の王の城は山の上ではなくて、麓にあるって聞いた事があるんですけど…」


 エミリーが小さく手を挙げて、遠慮がちに言う。


「良かったな。山登りしなくて済むってさ」


 伊達が新しい煙草に火を着けながら、笑っていた。


「じゃあ、大将首狙ってみるかぁ」


 明智が煙管に新しい煙草を詰めながら楽しげに言った。


「笑い事ではありません!」


 シャーリーが明智に怒鳴った。

 当然と言えば、当然だ。

 この学級委員タイプの真面目っ子は、俺達の担当になった事自体が不運だろう。

 学生時代から、こういうタイプの同級生には迷惑ばかりかけている気がする。


「すまんすまん、そう怒鳴らないでよ」


 煙管に火を着けながら言うあたり、明智は全く反省していないだろう。


「とりあえず、山に向かうって事でいい?それで良ければ、明日は準備という事で」


 伊達が話し合いを締めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ