#27
「せい!」
真田が目の前のヴァンパイアに向かって、左手の銃剣を投げつける。
銃剣はヴァンパイアの右肩に刺さり、ヴァンパイアは片膝をつく。
そこへ追い打ちをかける様に、真田は右手に持った銃剣でヴァンパイアの喉を斬り裂く。
どこから取り出しのか、真田は新たに左手に逆手に握った銃剣で、ヴァンパイアの胸をを突いた。
ヴァンパイアは抵抗する事もできず、衣服を残して灰になった。
真田の活躍を横目に見ていると、俺の目の前のヴァンパイアが右手にナイフを持って斬りつけてきた。
ヴァンパイアの右手首を狙って、刀を下段から斬り上げる。
斬った手首から先は灰になり、ナイフだけが地面に落ちた。
手首から先が無くなった右手を驚愕の表情で見つめるヴァンパイアを、返す刀で袈裟斬りに斬り下ろし、さらに心臓の辺りを狙って貫く。
ヴァンパイアは刀に胸を貫かれたまま、灰になった。
「いってぇな、くそ!」
崩れたイスの列の中から本田が起き上がってきた。
本田の方へ顔を向けたヴァンパイアが、歩み出そうとしたところで不自然にに動きを止めた。
次の瞬間、ヴァンパイアはバラバラになりながら灰になった。
伊達のワイヤーで八つ裂きにされたのだろう。
視線をヴァンパイアどもに戻すと、すでに真田が次のヴァンパイアを始末していた。
床には灰にまみれた神官のローブが落ちている。
「オラー!」
本田は伊達の横を駆け抜け、ヴァンパイアへと剣を降り下ろす。
「惜しい」
本田の剣はヴァンパイアに避けられていた。
しかし、伊達が呟きと同時に右手を引き寄せると、ヴァンパイアの首が落ちた。ワイヤーで首をはねたのだろう。
首の落ちたヴァンパイアが灰になる。
ヴァンパイアは脳か心臓を破壊すれば倒せると聞いていたが、首を切断しても倒せるようだ。脳と心臓が切り離されるからだろうか?
ヴァンパイアの一体がこちらへ向かって来たので、刃を水平にし、左手のみの突きを心臓に向けて放つ。
刀に貫かれたままヴァンパイアは灰になった。
奥からさらに数体のヴァンパイアが出てきたが、そちらは伊達と真田に任せて、明智達の方を振り返る。
原田は左手で脇腹を押さえながら、右手だけで槍を構えて立っていた。息もあがっているし、苦しそうだ。
明智はグルカナイフを片手に、ヴァンパイアと格闘戦を繰り広げていた。
明智の正拳が決まり、ヴァンパイアが吹っ飛ぶ。
「人間に素手で殴り飛ばされるなど、夜の一族になってから初めてですよ…」
ヴァンパイアは、ヨロヨロと立ち上がろうとする。
(そりゃそうだろうなぁ。いくら加護を受けてるからって、ヴァンパイアを素手で殴り飛ばすかよ…)
明智は追い打ちとばかりに、まだ立ち上がれていないヴァンパイア目掛けて、グルカナイフを投げつける。
切り裂かれた左肩から下が灰になり、再び倒れる。
「うおぉぉぉ!」
明智は日本刀を抜き放ち、倒れているヴァンパイアに斬りかかった。
ヴァンパイアの首が飛び、血が雨の様に降るが、地面に届く前に灰に変わる。
「すげぇな」
真田の声に振り向くと、すでに他のヴァンパイアは全て倒されていた。
本田も頑張ったようだ。肩で息をしている。
「やっぱり、アイツは規格が違うな」
「まぁ、明智だし」
俺の呟きに、真田も呆れたように返してきた。
戦闘終了後、負傷者の手当てをしてから礼拝堂のある建物の中を探索した。
ゲームではないからアイテムを見付けたりする事は無かったが、脱ぎ散らかしたように服が散らばっている部屋がいくつかあった。
たぶん、ゾンビのものだろう。
ゾンビは、自身をゾンビ化させたヴァンパイアが灰になると、一緒に灰になってしまうそうだ。
「そっちは動けそうなのか?」
原田達のチームは、満身創痍だった。
松永と島津は脳震盪と打撲、原田は肋骨にヒビが入っている様で、軽傷なのは本田だけだ。
「馬車での移動なら問題無い」
俺の問いに、原田がそう答えたので、彼女達には先に村へ戻ってもらう事にする。
俺達は後始末というわけではないが、ゾンビやヴァンパイアとなってしまったであろう、この村の人間達の弔いのためと万一の用心のために、ヴァンパイアの巣窟となっていた礼拝堂に火を放つ。
礼拝堂が盛大に燃え出すと、明智達は黙祷し、俺は十字を切った。




