#25
「なんだ、こりゃ?」
車から降りた俺達の目の前には、人の気配がしない荒れ果てた村があった。
「ここに、あのゾンビ達を操っている吸血鬼が居るはずです」
明智の呟きに原田が答えていた。
「こんなに近くにねぇ…」
真田がそう言うのももっともだ。
馬車の速度に合わせて走っていたとはいえ、村を出てから一時間程しか走っていない。
「で、どうするの?」
伊達が車をしまいながら、聞いてきた。
馬車からも北の勇者達が降りてきている。
「村の中央にある建物に吸血鬼が居ると思われます。そいつを倒せば、あとは雑魚だけです」
原田が指差した方向には、周囲の家と違い、一軒だけ大きな家が立っていた。
「どうする?」
「やっぱり、ローマ的古典的戦法しかないだろう」
俺の問いに、明智はニヤリと笑いながら答えた。
「何だよ、それ?」
真田が怪訝そうな顔をしている。
「バカ正直に正面から突っ込むって事だよ」
真田にそう答えて、昨日のうちにお取り寄せしておいたレミントンM870をアイテム一覧から取り出す。ピストルグリップで金属製のフォールディングストックのタイプだ。
「はぁ!?ホント、馬っ鹿じゃないの!」
そう言いながら、真田もリボルバーを抜く。
「二人はスノウさんと馬車で留守番しててね」
伊達がアリシアとエミリーに指示を出し、煙草に火を着ける。
ショットガンの確認が済んだので、俺もシガリロに火を着けた。
「では、正面はお任せします。私達は裏から回り込みますから、突入準備が完了しましたら、メッセージでお知らせしますね」
原田もスマホに大天使のアプリをダウンロードしてあり、明智と連絡先を交換していた。
(ちゃっかりしてるなぁ)
俺は肩を竦めて、紫煙を吐き出した。
「準備できたってさ」
ヴァンパイアが潜んでいるだろう建物の正面にある家の陰で待機している俺達に、明智が告げた。
すでに明智はAK47を構えている。
真田は左手にいつものリボルバー、右手には新たにお取り寄せしたベレッタ93Rを持っていた。
伊達は、いつものワルサーPPKだ。
「じゃ、行きますか」
建物に走り寄り、ショットガンを撃ってドアを蜂の巣にする。
「うらぁ!」
ボロボロのドアを明智を蹴破った。
次の瞬間には、建物の内部に向けてAK47を乱射する。
「勇者達ご一行というより、特殊部隊みたいだな」
「ゲリラの間違いじゃないの?」
俺の呟きに、伊達のツッコミが入る。
「行くぞ!」
明智が銃撃を止め、建物に侵入した。
俺達も、それに続く。
扉の向こう側は玄関ホールらしく、奥へと続く廊下と二階へ上がる階段があった。
「二手に分かれる?」
「それ、ホラー映画とかの死亡フラグだから」
真田の疑問に、伊達がツッコミで帰した。
「とりあえず、全員で一階を回ろう。明智は向こうに伝えといて」
「分かった」
俺の提案に、明智はスマホを取り出してメッセージを打ち始めた。
周囲を警戒しながら、各々、煙草に火を着ける。
明智がスマホをしまって煙草に火を着けたのを確認して、奥へと進みだした。
結局、一階の探索は空振りに終わった。
全ての部屋を調べてみたが、ゾンビの一体にすら遭遇しなかった。
「二階も何も無かったって」
裏口から侵入した原田達は、玄関ホールのものとは別の階段から二階へ向かったのが、そちらも空振りだったようだ。
「情報が間違いだったんじゃないの?」
真田が若干、不機嫌そうに呟いた。
俺は、ショットガンをスリングで肩にかけて、シガリロに火を着ける。
「それか、隠し部屋とか地下があるとか」
伊達が、煙草に火を着けながら言った。
「一度、玄関ホールに集合して探してみよう」
そう言うと、明智は原田にメッセージを送った。




