#24
「私達は、北の神殿に召喚された者です。私達と同じく、どこかの神殿に召喚された方とお見受けしますが?」
戦闘が終了すると、馬車から降りた四人は黒髪ポニーテールの女の子を先頭に、こちらへ近付いて来た。そして、女の子が俺達に向けて、そう言った。
近付くと、女の子にしては背が高いのが分かる。身長百七十センチの俺と大差無い。
「そうだよ。東の神殿に召喚されたんだよ」
明智がホルスターに銃をしまいながら、笑顔で答えた。
俺も真田も、構えてこそいないが、まだ銃はしまっていない。
伊達は銃をしまって、煙草に火を着けている。
「私達は、この村が襲われていると聞き、救援に来ました。あなた方もですよね?」
彼女は真っ直ぐ明智を見ている。
後ろの三人の男は暇そうに各々の武器をいじっているが。
「そうだよ」
明智が答えて、右手を差し出す。
「では、これから、ここを襲ったゾンビの親玉を倒しに行くのにご同行願えませんか?」
女の子は明智の握手に応えて、そう言った。
「どうして、こうなった?」
真田が不満そうに呟いている。
翌朝、夜が明けるかどうかという時間に、俺達は北の神殿の勇者達と村を出た。ゾンビどもの親玉を倒しに行くためだ。
念のため、アンとシャーリーには村に残ってもらい、他のメンバーと北の神殿の勇者のリーダーらしき女の子とでアルファードに乗って移動している。
昨日の自己紹介によると、女の子の名前は原田真理。高校二年生。武道の道場の家の娘で槍が得意だそうだ。学校では生徒会長だとか。切れ長の瞳の冷静そうな美人だ。
運転は伊達、助手席に真田、二列目に俺、アリシア、エミリー、三列目は明智と原田が座っている。
「しょうがないだろ。明智が行くって言うし、元を断たないと村も危険だし」
真田にそう返して、窓を開け、ポケットから取り出したシガリロに火を着けた。
後ろでは、明智と原田が色々と話している。
原田を俺達の車に乗せたのは、彼女達の馬車との連絡役になってもらうためだ。
馬車に乗っているメンバーは、剣を力任せに振り回していたのは本田淳。明智よりも背が高く、百八十センチ以上はあるだろうか。高校二年生でバスケ部に所属しているらしい。
細身の剣を使っていたのは、松永秀人。背は高くなく、細い。眼鏡をかけていて、鋭い目付きをしている。彼も高校二年生で、生徒会副会長だそうだ。
北の勇者達の最後の一人、銃を使っていた彼は、島津大我。名前に反して、小柄で気が弱そうな少年だ。彼も学ランを着ていて、高校一年生。特に部活にも入っていないらしい。
彼らは、通学途中にバスが事故に遭い、こちらへ連れて来られたらしい。たぶん、明智と同じだろう。
他に彼らの仲間は、馬車の御者をしているスノウという神官の女性だけで、天使は居なかった。
本来、天使は同行するものではないのだが、明智が一人だけ召喚されてしまい、仲間が居なかったので仕方なくアンが同行した。
アリシアの場合は、俺達が追加で召喚されたので、明智と合流するための案内役だ。
二人とも、そろそろ帰還命令が出るはずだと言っていた。
「もう少しで目的地です」
原田がそう告げたので、短くなってきたシガリロを窓の外へ捨てようとしたら、アリシアに止められた。
どこから持ってきたのか、携帯灰皿を渡されたので、それにシガリロを捨てた。
携帯灰皿をアリシアに返そうとしたら、笑顔で首を横に振られたので、ありがたく貰っておく。
「そこで停めてください」
「はいよ」
原田の指示で、伊達が車を停める。
後方では馬車の停止する音がした。




