#22
吸っていたシガリロを投げ捨て、両脇のホルスターから拳銃を引き抜く。
周囲を警戒しながら、玄関前へ向かう。
フルオートで撃てる銃を持っているのは、明智だけだからだ。
「おおおっ!」
明智が雄叫びを上げながら、銃をフルオートで撃っている。
射線の先には数十体のゾンビの群れが居た。
俺もそちらへ向けて、両手の拳銃を撃つ。
視界を確保する明かりが、石の塀に沿って数本設置された松明だけなので、頭を確実に狙うなんて事はできない。
「勇者様!」
玄関からシャーリーが出てきた。
何やら呪文を唱えているようだが、銃声で聞こえない。
特に、真田のリボルバーの銃声は雷鳴の様だ。
(あれ、屋内で撃ったら鼓膜やられるよなぁ)
等と考えていると、突然、周囲が明るくなった。
真昼の様にという程ではないが、曇りの日の朝方程度には明るい。
ゾンビの姿がハッキリ見える。
俺達の銃撃が、次々にゾンビを捉えていく。
「うおぉ!」
明智がAK47を置き、日本刀とグルカナイフを抜いて、ゾンビの方へ走って行く。
日本刀と、全長六十センチ程はあるナイフを、それぞれ片手で振り回して、次々にゾンビの首をはねる。
「すげぇ、明智無双だな…」
真田はリボルバーに再装填をしながら、呆れたように言っている。
明智や真田達は、大天使から身体能力強化の加護を受けている。その加護のおかげで、真田は大口径のリボルバーを片手で軽々扱い、的を狙い撃てている。もちろん、元の身体能力が高い方が、加護の効きも強い。
明智は、子供の頃から空手をやっていて、ガタイも良い。生前は、素手でコンクリートブロックを割った事もある。
そんな明智に、ゾンビどもは紙クズの様に斬られていく。
「後は任せても大丈夫なんじゃない?」
伊達が拳銃のマガジンを入れ換えながら、言う。
「そういう訳にもいかないでしょ」
真田がリボルバーを撃ち、銃声が轟く。
「仕方ない」
伊達も装填し終えた拳銃を撃つ。
俺も右手の銃が弾切れしたので、両手の銃のマガジンを入れ換える。さっきも再装填したから、これで三セット目だ。
「何だ、あれ?」
伊達が指差す方向を見ると、だいぶ減ったゾンビの集団の向こう側から近付いてくる馬車を見えた。




