#21
明智が武器等の装備品しか大天使から与えられなかったのは、明智が元の世界で死んでいるかららしい。
アンの話では、死んでから異世界に行く場合と生きているのに行く場合では、待遇が違うらしい。
まだまだ話したい事はあったが、暗くなる前に体制を整えないといけないので、村長を呼ぶ。
伊達と明智は、それぞれ車をしまっていた。
明智は、車から下ろした日本刀を左腰に、グルカナイフを後ろ腰に差し、右肩にAK47をスリングで吊っていた。
どう見ても勇者って格好ではない。
「村長、村の現状は?ゾンビに襲われて、村長の家に立て籠ったって聞いたが」
俺達の方に近付いて来た村長に問いかける。
「はい。村の連中を集めて、家の中へ避難させました。ゾンビは勇者様が追い返してくれましたので」
「この家の中に?」
家のサイズを考えると、あまり大人数が立て籠れるようには思えない。
「地下がありますので。地下に避難用の大部屋があります」
地下にシェルターがあり、そこに村人を匿ったのか。
それなら納得がいく。
「明智、今夜もゾンビは来ると思うか?」
ここを襲ったゾンビと戦った明智に尋ねる。
「たぶん、来るでしょ。朝方、逃げてったのが居るから」
今夜は、村人を守りながらゾンビを殲滅する戦いになりそうだ。
「じゃあ、準備しますか」
そう言って明智の肩を叩いた後に、短くなったビリガーを携帯灰皿に捨てた。
戦闘準備として行ったのは、お互いの武器の確認と配置、松明の設置だ。
配置とは言っても、俺達の他には村の若者が数人しか戦える人数は居ない。
しかも、銃を持っているのは村長の娘だけ。
俺とアリシアにお茶を出してくれた子だ。名前はローラというそうで、予想通り勝ち気な子だった。
家の北側にあたる玄関前に明智、東側に真田、南側に伊達、西側に俺。
ゾンビ達は北側から来る可能性が高いので、最も火力の高い明智が担当になった。
村長の娘も明智と同じく玄関前。
銃を持ってない他の若者は、それ以外の三ヶ所に二人ずつ。戦闘担当では無く、見張りと連絡役だ。
この戦力では、銃を持ってる人間はゾンビが襲ってきた方角へと移動しなければならない。そうなった時に無人の方角があるのはマズイ。そのための見張りと連絡しますだ。
天使と神官は、家の中で待機。魔法で援護してもらう。
(どこから来るか…)
周辺を警戒しながら、コートのポケットからクラブマスター スマトラを取り出して、火を着ける。
両隣を見ると、鎌を握り締めた男は一心不乱に前を見つめていた。もう一人の鋤を持った男は震えている。
(無理も無いか)
そう思って、視線を前に戻した時、フルオートの銃声が聞こえた。




