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#20

 それから、僕達は勇者様の鉄の馬車の前に集まって、自己紹介をする事になった。


「え~、明智聡です。趣味は、喫煙具全般、骨董、古本、古切手、中国茶、他にも古い手紙なんかも集めてます。勇者として呼ばれたそうですが、勇者よりも坊主か落語家になりたかったです。よろしくお願いいたします」


 勇者様の自己紹介は、よく分からなかった。

 ボウズとラクゴカって何だろう?勇者よりも上位のクラスなのかな?

 実は、僕は勇者様とお会いするのは今日が初めてだ。

 勇者様が召喚された時も、神殿を出発された時も、僕はお会いしていない。

 新人の僕は、勇者様のお供どころか、お会いするのも畏れ多いという話だった。

 でも、勇者様のお仲間が召喚されるという話になった時、勇者様ご本人のお供でないという事で、神官の間では押し付け合いになった。そして、押し付けられる形で僕がお供に決まった。

 魔法の才能もあまり無く、風の神殿の神官なのに風の属性を使えない僕は、厄介払いされたのだ。


「私は、アン。サトシの保護者の天使よ。好きなものはお酒。よろしくね」


 アン様は、腰まである青いストレートのロングヘアで、切れ長の青い瞳をした、物凄く綺麗な天使様だ。スタイルも良く、胸は凶悪なセクシー系だ。

 アリシア様と同じく、白いワンピースの腰の辺りを金色の紐で縛って着ているけど、胸の谷間が見えるぐらいに胸元は開いているし、足首から腿の辺りまで両サイドにスリットが入っている。

 二十歳か少し上に見えるけど、実際のところは分からない。


「私は、シャーリー。勇者様付きの神官です」


 シャーリーは、十八歳にして全属性の魔法を使いこなすエリート神官で、僕とは大違い…。

 茶色い髪を襟足よりサイドが長めのおかっぱにしている。切れ長の茶色瞳の美人で、身長も女の子にしては高めで、スレンダーでスタイルも良い。胸だけは、僕の方が勝ってるけど。

 でも、勇者様は、最初はシャーリーが付いてくるのを断って、世話役をしてた見習いの男性を連れて行こうとしたらしい。

 若い女の子に気を遣うのは苦手だから、男同士の方が気楽という理由で。

 その時のシャーリーは、一言も喋らなかったけど、目が物凄く怖かったって、その見習いの男性から聞いた。


「これで全員か」


 一通り自己紹介が終わると、タケダさんが葉巻を吸いながら言った。


「そだね」


 サナダさんも煙草に火を着けながら同意する。


「あ!お前ら、何で煙草吸ってるの?」


 勇者様が二人に向かって言った。


「大天使に貰った」


 ダテさんが、勇者様に後ろから声をかけて、煙草に火を着ける。

 勇者様がダテさんの方に振り向いた。


「軍曹!」


 突然、タケダさんが大声を出した。 ダテさんとサナダさん以外は、タケダさんの方を見る。


「軍曹!これはお上からの支給品である!」


 いつもとは全く口調の違うタケダさんが、意味の分からない事を言いながら、勇者様に赤い小さな包みを手渡した。


「ハッ!」


 包みを受け取った勇者様は、何故かタケダさんに敬礼した。タケダさんも敬礼を返している。


(二人とも大丈夫かなぁ?何かに乗っ取られたとか?)


 僕の心配をよそに、勇者様は渡された包みから煙草を取り出して、火を着けた。

 勇者様は、満面の笑みで煙を吐き出すと、言った。


「武器とか装備品しか貰えなかったんだよね」

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