#1
水色の髪の女の子に案内されたのは、革張りのソファーとガラスのテーブルのある応接間らしき部屋だった。
テーブルにはクリスタルガラスの灰皿が置いてあった。
俺はソファーに座り、ビリガーエクスポート マデューロという銘柄のドライシガーを取り出して、案内してくれた女の子に見せた。
彼女が軽く頷いたので、火を点ける。
「お待たせしたかな?」
声とともにドアが開いて、眼鏡をかけた金髪の青年が入ってきた。
彼の格好は、黒いスーツに黒いネクタイ、白いワイシャツで、ドアの横に立っている彼女と違って、西洋人のビジネスマン風だ。
ちなみに、彼女の格好は、ギリシャ神話の登場人物の様な白いワンピース風の服。
「いや、今、火を着けたばかり」
「それなら良かった」
彼は笑顔で応えながら、懐から葉巻を取り出しながら、俺の対面のソファーに座った。
「先日、君の友人が亡くなったね?まずは、御冥福を」
そう言って、上着ののポケットからハサミ型のシガーカッターとマッチを取り出すと、葉巻の吸い口を切り取り、火を着けた。
「それで、その彼なんだが、亡くなった後、君達の世界とは違う世界へ呼ばれて勇者をやってる」
「は!?」
アニメや漫画じゃあるまいし…と思ったが、ヤツがどこかで元気にやってるなら、いいか。
「君にも、その世界へ行って欲しい。勇者の仲間として」
「え!?何その展開?俺、死んでないし」
「たしかに、君は死んでない。眠っているだけだ。その世界へ行って無事に帰る事が出来れば、朝、目が覚める。その世界と君の世界は時間の流れも別だから」
異世界で勇者の仲間として冒険するのが、一晩の夢って事か…。
無事に帰る事が出来れば。




