#15
「あいつら、南の街道を行った街に居るって」
起きたら、真田からメッセージが着ていた。南東の街道には向かえなかったので、南下したという連絡だ。
アリシアに内容を伝える。
「どうします?サナダさん達の居る街までは少し距離がありますが、道はありますよ」
「車で行ける道?」
「街道程広くはありませんが、馬車が通る道なので、たぶん大丈夫だと思います」
車が通れるなら、彼らの居る街へ向かう事はできるだろう。
向こうから来てもらう選択肢もある。
あとは、北の神殿のある街へ戻るか。
「とりあえず、朝ご飯にするか」
アリシアを連れて、宿の食堂へ向かう事にする。
朝食と言っても、俺は紅茶しか飲まない。天使であるアリシアに食事が必要かは分からないが、昨日までは食べていたから、無いよりはあった方が良いだろう。
朝食を食べた後、どこで合流するかを相談するために真田へメッセージを送った。
返信を待つ間、一服する事にする。
ビリガーエクスポート マデューロを取り出して、火を着ける。
「しかし、なかなかヤツに追い付かないなぁ。今頃、ヴァンパイアの本拠地に乗り込んでたりして」
本来なら、昨日か今日には合流できていた予定だ。
「それは無いようですよ。今、勇者と一緒に居る仲間と連絡が取れました。北の神殿のある街から少し進んだ所にある村だそうです」
「村?なんで街で待ってなかったんだ…?」
北の神殿の街で合流する手筈だったのに、何故、先に北上してしまったのだろうか?
「ゾンビの集団に村が襲われて、救援に向かったそうです」
「無事なのか?」
「はい。今は、生き残った村人達と村長の家に立て籠っていると言ってます」
アリシアの表情は落ち着いてるから、今のところは窮地ではないのだろう。しかし、いつ状況が変わるか分からない。
「急いでその村へ向かおう」
真田と伊達に、アリシアから聞いた話と村へ向かう旨をメッセージする。
立ち上がり、アリシアを連れて食堂を出る。
葉巻は吸い始めたばかりだったが、急いで運転するには邪魔なので、食堂の灰皿に置いてきた。
「そこの脇道を入ってください」
「了解」
アリシアの指示に従って、車を脇道へ入れる。
俺達は、すでに北の神殿の街を越えて、さらに北上していた。北へ向かう街道は無いので、馬車道を進んだ。
脇道は車幅ギリギリだったが、道から外れても段差があるわけではなく、路面が砂混じりになるだけなので、スピードは落ちるが走れなくはない。
「あの村です」
少し先に木造の家が何軒か見えてきた。
何とか日が落ちる前に到着する事ができた。
荒れた路面を八十キロ近くで飛ばして、ようやくだ。ラリードライバーがランエボやインプで走ったなら、もっと早く着いたのだろうが。
「村長の家ってのは、どれだ?」
「たぶん、あれです」
アリシアの指差す方向にある、周囲の家よりは気持ち大きい程度の家へ向かう。
家の周りを囲うように、膝ぐらいの高さまで石が積み上げられている。塀なのだろう。
塀の手前で車を停める。
「今、出てきます」
どうやら、アリシアが連絡を取ってくれたようだ。
扉が開いた。




