#11
「武田からメッセージ返って着たよ。ゾンビが出たから、この街を出て、昨日泊まった街で合流だってさ」
僕は、アリシア様達と分かれて、サナダさん、ダテさんと情報収集のために街を回っていた。
酒場を三軒回って、さっき宿へ戻って来たところだ。
「ゾンビが出たなら戦いに行かないと!」
夜の王を倒すために勇者様にお供するのが、僕の使命なのだから。
「いや、街を離れよう」
コーヒーカップを片手に、僕の意見を否定したのはダテさん。
ダテさんは、小柄で執事さんみたいな服を着ている。落ち着いて居て、面倒見の良い人だ。
「そうだね。天使も一緒で、そう言ってきてるんだから」
ダテさんに同意したのは、サナダさん。
この人も小柄で、真っ赤なコートを着て、眼鏡をかけている。物腰が柔らかくて、ニコニコしている事が多い。
この二人は、勇者様の仲間として召喚された人達。
もう一人、タケダさんっていう人が召喚されていて、今は別行動だ。
タケダさんは、黒いコートを着ていて、いつも葉巻を吸っている。神官の僕でも驚く様なスゴい魔力を使える人なんだけど、何となくやる気が無い感じに見える。
ちなみに、ダテさんとサナダさんも煙草を吸っているけど、二人が吸っているのはシガレット。
なので、三人集まると部屋の中が煙い。
サナダさんの言う『天使』は、アリシア様。
アリシア様は、僕の仕える風の神殿の天使様の一人で、水色のウェーブのかかった腰まで届くロングヘアー、大きな青い瞳の可愛い天使様だ。見た目の年齢は、僕より少し上だと思うけど、実際の年齢は分からない。背は高くないけどスタイルは良いし、肌も綺麗で、同性の僕でも見とれてしまう。
「じゃあ、行きますか」
ダテさんが、そう言って立ち上がると、サナダさんも立ち上がり、部屋の入り口へと歩き始める。
仕方ないので、僕も続く。
二人は不思議な道具に荷物を入れてるみたいだから、特に持って行くものは無いけど、僕は隣の部屋から自分の荷物を取って来なければいけない。
タケダさんも不思議な道具に入れてるし、アリシア様も荷物は持っていない。
荷物があるのは、僕だけだ。
宿から出て、ダテさんの鉄の馬車に乗り込む。
馬に引かれてないのに走る不思議な馬車だ。どうやって動いてるのか聞いても、『企業秘密』と誤魔化された。
「おい!あれ!」
馬車が走り始めて少しすると、御者席の隣に座っているサナダさんが斜め前を指差しながら叫んだので、そちらを見てみると煙が上がっていた。
「東の門の方じゃないか?」
「だねぇ」
「どうする?通れないかも」
「予定を変更しようか」
御者席のダテさんが答えて、馬車に付いている直径数十センチの輪を時計回りに回すと、馬車が右へ曲がった。
「たしか、この街は東西南北に門があったはずだから、南の門から出よう」
僕達の乗った馬車は、南門へと向かって進んだ。




