#10
メッセージは、真田からだった。内容は、俺達が宿へ帰らない件への了承、情報収集の成果、彼らの班は宿へ戻ったが問題は無しとの事。
「真田からメッセージが着た」
俺はスマホを掲げて、アリシアに向けて軽く振って見せた。
アリシアが頷いたのを確認してから、返信を打ち込む。
街の北側にゾンビが襲撃して来ている事と、すぐに街から脱出して、昨日泊まった街で落ち合おうという内容だ。
ゾンビの数が多過ぎるし、さっきのヴァンパイアも潜んでいるはずだから、この状況で合流して戦うのは不利だ。
「さて、どうする?」
メッセージを送り終わった俺は、アリシアに問いかける。
「戦いましょう。すでにここまでの被害が出ている以上、魔法を使っても問題ありません」
さすがは天使。やはり、逃げずに戦う事を選択した。
さっきは住宅街の中だったので、周辺への被害を考えて魔法は使えなかったが、この状況なら遠慮はいらないだろう。
「分かった」
アリシアに返事をして、車をアイテム一覧にしまう。
スマホをポケットに戻し、両脇のホルスターから拳銃を引き抜く。
「さて、第二ラウンドといきますか」
ゾンビ達の方へと近付いて行き、手近な奴の頭を狙って撃つ。
右手の銃で二体を始末した後、今度は左手の銃で少し遠めのゾンビの頭を撃ち抜く。
一体につき一発ずつしか使っていない。
数メートル左側から銃声がしたので、そちらへ目をやると、革製の鎧を着た男がリボルバーを撃っていた。
西部劇に出てくるような古くさいリボルバーだ。
(カウボーイってわけでもなさそうだが)
銃声がする場所へ順に目をやると、やはり古くさいリボルバーを握っている者達が居る。
(あんまり当たってないな)
左手の銃で七体目のゾンビを始末しながら、そう心の中で呟いた。
彼らのリボルバーは、銃声の回数の割にゾンビを倒せていなかった。
ゾンビ達の近くで発砲しているのも、射程距離が短いからだろう。
「うわぁ!」
突然、右前方から男の叫び声がした。
声の方へ目を向けると、髭面の男の首にゾンビが喰らいついていた。
パァン!
髭面の男が力を振り絞って、持っていた銃でゾンビの頭を撃った。
ゾンビはそのまま崩れ落ちた。
しかし、男も倒れたまま動かない。首の傷が致命傷だったのだろう。
(クソッ)
目の前で犠牲者が出てしまったのは悔しいが、今はゾンビを片付けるのが先決だ。
両手の拳銃を撃ちまくり、次々にゾンビを仕留める。
倒しても倒しても数が減らない気がするが、全滅させるまで撃ち続けるしかない。
「くたばれ!」
左側に居た革鎧の男が、叫びながらゾンビの近くへ走り寄り、頭へ銃口を向ける。
「おい、待て!」
確実に当てられる距離まで近付くのは有効だが、同時に危険だ。
ゾンビはヴァンパイアの一種で、人間とは比較にならない身体能力を持っている。
スピードはそれ程でも無くても、パワーは桁違いだ。
ザシュ!
革鎧の男が、胸から背中にかけてゾンビの腕に貫かれた。
即死だろう。
ゾンビは腕を振るって、男の死体を放り投げる。
そのゾンビの頭部を狙って、引き金を引く。
ゾンビは倒れて、灰になった。




