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#9


「しかし、ヴァンパイアが銃の弾をあんなに簡単に避けるとはね…」


 先程、ヴァンパイアと遭遇したエリアとは、神殿を挟んで反対側のエリアまで来たので、いったん車を止める。

 念のため、エンジンは切らずにおく。


「さっきのは、下僕の中でもかなり強い方です。銃弾を避けるヴァンパイアなんて、そんなには居ません」

「そう願いたいね…」


 アリシアの言葉が本当である事を願いつつ、車の窓を開け、シガリロに火を着ける。


(一度、装備も考え直した方が良いかもしれないな…)


 二丁ともマガジンを交換し、弾が減ったマガジンには、アイテム一覧から取り出した弾を込める。


「今夜は宿に戻らない方が良いかもしれないな」

「どういう事ですか?」


 俺の発言に、アリシアは怪訝な顔をする。

 当たり前だろう。


「宿は、あいつと遭遇した方向だ。それから、あいつと遭遇したのが偶然じゃないとすれば、君の気配に寄って来た可能性が高いだろ?」

「たしかに、その可能性はありますね…」

「だとしたら、俺達が宿へ戻れば、宿を襲われる危険性がある。伊達達にはアプリでメッセージを送って報せよう」


 伊達と真田に、事の顛末と宿には戻らない旨を書いたメッセージを送信した。

 離れた仲間と連絡を取れるのは、ありがたい。

 ただし、一度、アプリの連絡先を赤外線で交換しないとならないため、まだヤツとは連絡が取れない。


 短くなったシガリロを指で弾いて、窓の外へ捨てる。


(さて、どうするかなぁ?)


 宿に戻らないとなると、車の中で朝まで過ごすか、酒場のような人の多い場所に居るか…。

 さっきの奴が人目に触れる事を嫌うなら、酒場等へ行く方が安全だろう。

 ただし、襲われた場合は、一般人に被害が出る。


「さっきの魔力の反応が街の北側であります!」


 いきなりアリシアが慌てた声で叫んだので、考え事をしていた俺は少し驚いた。

 今居るのは街の西側で、さっきヴァンパイアと遭遇したのは、街の東側。

 これだけ離れていて魔力を感知できたという事は、また誰かと戦ってるのかもしれない。


「行ってみるか。もしかしたら、伊達や真田達とやり合ってるのかもしれない」

「そうですね」




 街の北側へ着くと、そこは凄まじい状況だった。

 道には十数体のゾンビが歩いていて、その倍ぐらいの人数が倒れている。生死は分からない。

 銃声が鳴り響き、火の手が上がっている所もある。


「あいつらが戦ってるのか?」


 俺とアリシアは車から降りて、ゾンビ達の方へ目を向ける。

 その時、ポケットでスマホが震え、メッセージの着信を告げた。

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