プロローグ
その日は綺麗に晴れていた。
いわゆる、『お出かけ日和』ったやつだ。
近所の公園で一服しようと歩いていたところに、電話がかかって着た。
「明智が亡くなった」
「は!?マジで!?」
電話は、中学の頃の同級生で20年来の付き合いの友人、真田一郎からで、同じく中学からの友人である明智聡の訃報だった…。
それから時が経ち、聡の納骨が終わった晩の事。
友人の死に現実感が持てず、精神的にも疲弊していた俺は、早めに寝る事にした。
「ここは…?」
気付くと、一面白い景色の中を歩いていた。
空も白、大地も白。
雪景色と言うよりは、雲の中でも歩いている感じだろうか。
とりあえず一服しようと、ポケットからシガリロの缶とライターを取り出す。
シガリロはクラブマスターのスマトラだ。
シガリロを缶から一本取り出して、火を着ける。
紫煙を吐き出す。
状況を整理してみる。
ベッドで寝たところまでは記憶がある。
起きて支度したとか、そういう記憶は無く、いきなりここを歩いていた。
…という事は、夢か?
仮に夢だとして、どうするか?
ここで延々と煙草吸ってるわけにもいかないしなぁ。
(いや、それも悪くないか)
そんな事を考えてから、周囲の気配を探ってみる。
俺は武術の達人とか歴戦の兵士ではないので、霊的な気配を探ってみた。
オカルト系の職業に就いてるからね。
さて、収穫かどうかは分からないが、さっき歩いて向かっていただろう方向に神社とか教会のような場所と似た気配を感じる。
経験則から言うと、呼ばれてる可能性が高い。
「行くしかない、か」
短くなったシガリロを携帯灰皿へ始末して、気配の方へ歩き出す。
しばらく歩くと、白い一軒家が見えてきた。
童話やファンタジーにでも出てきそうな西洋風の家だ。
壁は白いレンガで出来ているのだろうが、どうにも輪郭がハッキリしない。
レンガとレンガの間の線がぼやけている様な感じだ。
(これでヘンゼルとグレーテルみたいな、お菓子の家だったら洒落にならないな。俺には助けてくれる妹は居ないんだから)
それでも他にやれる事も無いので、白い家へ近付いて行く。
家に近付けば近付く程、感じる神気も強くなる。
意を決して玄関へ向かうと、呼び鈴代わりなのかドアの横にある鐘を鳴らす。
「はーい!」
ドアの向こうから若い女性の声と走ってくるような足音が聞こえてくる。
そして、ドアが開き、目が大きくパッチリしていて鼻筋も通っている綺麗な女の子が出てきた。
ウェーブのかかった髪の色は水色という、普通の人間では有り得ない色をしていたが。




