王道的展開
仏壇の前に1人の少女。
「行ってきます、お母さん、お父さん」
転生して早17年。なぜか女でだ。
2年前に交通事故で亡くなった両親の前で報告をして学校に行く。
もちろん女子の制服を着てだ。
今となっては女と言うことに抵抗はほとんどない。
元男的に男が好きになれないことだろうか。何かの出合いで恋をするかもしれないが。
今までは普通に過ごしていた。両親が亡くなってからは祖父母から生活費をもらい、自分でも仕事をして稼いでいたのでそんなに苦しい思いをしたことはない。
元々前世でそれなりに頭のいい学校の生徒会長をしていたので学力に自信があったが、この年でこの学力は変だろうと思いそこそこにセーブ。中学校の時はだいたい5、6位。さすがに中盤はプライドが許さなかった。
あ、血の繋がった双子の弟がいるがアイツは運動部なのですでに学校に行っている。
ピーンポーン
家のチャイムが鳴る。
どうやら毎日恒例のお迎えだ。
少し早足で玄関まで向かって出る前にもう一度、
「行ってきます」
我が家を後にした。
「おはよう、結衣」
「おはよう。薫」
玄関の前に立っている少女、沙月結衣
平均的な身長で肩までのびた茶髪(髪の色は生まれた時から)大きな目、形の整った輪郭。まさに可愛い美少女。告白された数は数知れないとか。
私も何回かもらったことがあるが全部断っているな。いまだに男は好きになれないし。
中学校の入学式からの中でいつもお昼は一緒にお弁当を食べているな。
「結衣、宿題はやったの?」
「え、っと薫に見せてもらおうかと思って☆」
てへ、皆にな声が似合いそうな感じでいわない。そんなんじゃ宿題見せないよ。
今はもう普通に自然な感じで少しは女子っぽい喋り方ができるが昔は苦労した。
先ほどから薫と呼ばれているのが私だ。八十一薫苗字が読めない人が多々いる。ま、珍しいよねこの苗字。自分的に目つきが悪いのが特徴だと思う。目つきを隠すためにメガネかけて前髪を少し長めにしている。後、特徴は腰まで伸ばした黒髪。
「そんなんじゃいつになっても成績は上がりませんよ結衣さん」
「私には薫しかいないんだよ。助けてっ!」
「おとなしく先生に絞られてしまいなさい」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!まっちゃんの地獄の補習だけは絶対にいや!」
うるさい。非常にうるさい。鼓膜が破れたらどうする。
あと変態に会ったみたいな感じに聞こえるしなによりご近所迷惑だ。
ちなみにまっちゃんと言うのは40代前半の歴史の松崎先生でしっかりとしている人には普通だが、結衣みたいに宿題の提出率が悪い人には補習をする。それが結構きついらしい。私はちゃんと出しているから知らないけど。
「そんなにいや?」
「いや!絶対にいや!」
「じゃ、結衣のうちのケーキおごってくれる?」
結衣の実家はケーキ屋さんでそれが絶品だったりする。そこのチーズケーキが私の心を一番打ち抜いた。所謂、好物。
「それでよろしいのならば喜んで薫の好きなチーズケーキを!」
「よろしい。歴史の時間には返しなさい」
「ははぁ、薫様」
と、茶番をしなから駅に向かった。
「ねぇ、後ろのキミィ。俺たちと楽しいことシに行かない?」
駅を降りてすぐ、3人組のナンパに会う。
さっきも電車で痴漢にあったばかりなのに。もちろん駅員さんに渡した。
「私たちこれから学校なので」
「そういわないでさぁ、学校より楽しいよぉ」
どさくさに紛れて私の腕をつかむチャラ男。
「やめてください、警察呼びますよ」
物理的に糸が切れたような音がし、
「てめぇ、こっちが優しくナンパしてんのによぉ、何してくれようとうとしてんだ!くそアマ!そっちの女やっちまえ!」
左右から囲まれ、結衣がチャラ男の一人に拘束される。
これはどうするか。蹴散らすにも私の技量はまだ未熟だし、かといってこのままおとなしくしてんのも癪に障る。
そんな時、
「ちょっと待ちなよ!」
イケメソが現れた。
個人的には不良少女がよかった。男っぽい口調をしてるのにアッチ系のことには初心なヤンキーっ娘が。
と言うか隣のクラスの新堂錬だ。
「ん、だてめぇ」
「この子たちが嫌がってるじゃないか」
ヒュー、かっこつけてるねー。
正直ナンパよりこいつを殴りたくなってきた。
「うっぜぇな。やっちまえ!」
結衣を拘束しているのが一人になる。
ここはイケメソに任せよう。
「ぐっ!」
バタッ、いかにもこの効果音が似合いそうな倒れ方をした。
雑魚すぎるだろ。新堂。
と思ったのもつかの間。
「弱過ぎんだろ主人公」
目元まで完全に前髪で隠し暗い雰囲気を出す少年が現れてチャラ男どもを蹴散らした。あ、結衣がちょっと倒れた。
蹴散らすとすぐに学校方面に向かって行った。
確かアイツは深雪一哉。周りからオタクとか、新堂様にまとわりつくゴミだの言われてた気がする。噂で聞いていたが喧嘩が強かったんだな。でもあれは武術を修めた奴の動きだった。後で流派を聞いてみよう。知ってる型に似てたから。
そして新堂が復活。
「大丈夫だった?」
「は、はい」
手を差し伸べられた結衣の顔は赤く染まっている。
…まさかおちたのか?新堂に。
やめておいた方がいいぞ。今だからこそ言うがそのうちハーレム作る唐変木だぞ。鈍感だぞ絶対に。ハーレム作っていくぞアイツ。
新堂はまた後で。とか言って学校に向かった。
後で深雪にお礼をしよう。缶コーヒーでいいか。
主人公は若干ずれています。変なところで天然が入ってたりとか。