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6月9日

感想、度々ありがとうございます。

 時刻9時、隣県に行くので少し早めの待ち合わせだ。

 服装は少し気合を入れてメイクも少し。メイクは先日椎名さんにならった。

 幸い、お爺ちゃんがパーティーを開かなかっただけましと思おう。

 真也は今日も練習だそうだ。帰りにケーキでも探していこう。

「待った……か?」

「12分ほど。大したことはない」

 デートならここは全然待ってないよ、私も丁度今着いたところ。というのだろうが活かせん私には無理だ。

 そもそもこれはデートではなく友達と遊園地に行くだけだ。

「どうした一哉。だらしなく口が開いているぞ」

 表現するなら、ポカン、と言うのがあっている。

「……いや、薫がすごく綺麗だと思ってな」

「なっ、変なことを言うな!あーもう!駅のホームに行くぞ!」

「それじゃ、行くか。電車乗り遅れるのは嫌だし」

 一哉の手を引きながら駅のホームへと向かった。

 その後、電車に数時間揺られた。




 先日逝った、じゃない。来た遊園地の前に来た。

「すみません、私立佐々雅高等学校のモノなんですが、これって使えますよね?」

「……学生証の提示をお願いします」

 私たちは事前に理事長から聞いていたので生徒手帳は持ってきている。

「深雪様に八十一様ですね。それでは楽しんでいってらっしゃいませ」

 入場門の係りの人が名簿の様なものを見て、Ok―を出す。

 入口をくぐると先日見た時とは違い、中央の花畑がアジサイや花菖蒲、珊瑚樹、夏椿など多くの花が咲いていた。先月は芝生みたいな感じだったのにな… 

 ふとした変化がとても大きく感じる。

 ゆったりと眺めていると、

「どうしたんだ?」

「前に来た時とは変わっていて、花が綺麗だと思って」

 顔を真っ赤に染め、何かを言おうと口がパクパクと動くがそこから声は聞こえない。聞こえるのは「き、きききk……ほ……きれ…だ……」と言う途切れ途切れの言葉。

 何が言いたいんだろう。

「早く、何か乗ろうよ。時間が勿体ない」

「そ、そうだな」

 釈然としない、なんとも残念と言うかやってしまったと言うオーラが出ている。

 一哉の手を引いて、アトラクションに向かった。




 残念ながら私はジェットコースターなどは乗れないので他のアトラクションを楽しんだ。

 お化け屋敷や色々な有名なものの展示、コーヒーカップや今の時期ではちょっとキツイ、マイナス38度を体験させてもらえる場所など。色々と燥いだ。

 時刻は早々に夕方。閉館は6時ごろ。

 今は梅雨と言うこともあってか夏に近づいているので日はまだ落ちていない。

 乗れるとすると後一つ。

「な、なぁ、観覧車乗らねえか?」

 緊張しているような感じで私を誘ってきた。

 断ることもないのでオッケーを出した。

 観覧車は特に並んでる様子もなく、並ばずに観覧車に乗る。

「おやおや、カップルかい?―――ふふふ、若々しいカップルなんぞ幸せになってしまえばいいんだ!」などと従業員のお姉さんにからかわれ、時間的に私たちが最後の組になるらしい。 

 一哉が耳元でお姉さんに何かを子声で伝え、一哉は驚きながらもうなずいた。

 読唇術でも使えば簡単に何を言っているのかわかるのだが、それはそれで無粋だと思いやめた。

 ………はたして私は頂点に行けば高さ50Mにもなる観覧車で正気を保っていられるのか?それだけが不安であった。

 今頃断ろうと思っても、そんなことお構いなしに係りのお姉さんは私たちをゴンドラに押し込む。

 床がシースルータイプじゃないだけましか。

 観覧車から見える景色はとてもきれいだった。

 高い所への恐怖が少し収まった気がした。

 でも見れたのは最初の5分ほど。一周25分もかかる観覧車なのだ、五分の一しか見れないと思うと少し残念にも思える。

 これ以上目を開けていると怖くなってきそうなので目を閉じだ。

 幸い、目を閉じて人の気配を知る訓練や平衡感覚を鍛えていたので目をつぶってた方が安心だ。

 とある疑問をぶつけてみる。

「どうして一哉は観覧車を選んだんだ?確かにこの夕暮れは綺麗だが……」

「それは……だな、お前に伝えたいことがあったからなんだ」

 なんとなく予想はついた。

 遊園地の観覧車でそれをしようなんて、ちょっとロマンチストなんだな。

 だが、不服があったので意地悪をする。

「……私が高所恐怖症と言うことを忘れてないか?いじめに近いぞ?」

「え、あ、そのだな、別に悪気があった訳じゃないんだ。って、普通目をつぶればさらに怖くならないか?」

「私は小さいころから武術の訓練をしていてだな、平衡感覚や人の気配を感じるのは得意なんだ。自分一人じゃないと分かr、きゃっ」

 急にゴンドラが止まった。

 そのさいに目を開けてしまった。

 見えた景色は山と山の間に夕日が沈んでいくのが真下の大きな泉に反射していて、というとても綺麗なものだった。

 ―――だが、それと同時に恐怖が押し寄せてくる。

 足が、手が、体がガタガタと震えてくる。なんとも言えない気持ち悪さがふくらはぎのあたりからだんだんと上がってくる。

 そして私の頭へ変な方向に思考が早くなっていく。

 このまま落ちたら?止まったままでこのままこの高い所に居なければならないn

「落ち着いてくれ、薫」

 その声と共に、体が引き寄せられる。

 ……すごく、安心してきた。

「俺がいる、一人じゃない。大丈夫」

 逆に安心しすぎて涙が出てきた。

「ごめん、薫。ちゃんとすぐに動き出す。さっき係りの人に一番高い当たりで5分ぐらい止めるって言われたんだ」

 …思考が冷静になってきた。

 そう言われると納得した。

「さっきも言ったけど、俺はお前に伝えたいことがあったんだ」

 抱きつかれたまま、耳元で言われていく。

 一度私から離れて肩に手を置かれ、まっすぐに私の目を見て言った。

「俺は、深雪一哉は八十一薫のことが一人の女性として好きです」

 自分のどこかで待ち望んでいたことを言ってもらえた気がした。

 こう言われるとはついさっき、そう思ったのに混乱してく。

「俺と付き合ってください」

「私は、バカな奴だぞ」

 ロマンチックな奴だと思った。

 本当に格好のいい奴だと思った。

 この台詞と同じことを何回か言われていたから、このシチュエーションで言われたこともあった。

 何回も言われた言葉だけど、何かが違ったんだ。

 何か、自分の気持ちを否定しようとしていた。

「関係ない」

「口調だって変だ」

「関係ない」

「目つきは悪いし、不器用だs―――」

「関係ねぇよ!お前が自分をどんなに下に見ようが、俺はお前が好きなんだ!一年も前から恋してたんだよ!俺は本気なんだよ!」

 俯いてしまう。

 そして、次から次へと涙が流れてくる。

 幸せだ。

 その言葉が今の気持ちに一番合うだろう。

 自分で大声の愛の告白をしておいて急にオロオロし始めないでくれ。

 一哉の両頬に手で触れて、

 

 キスをする。


「重要なところでオロオロするなよ、バーカ」

 不器用奴に告白したんだ、これくらいしか返事はできないんだ。

 そしてゆっくりとゴンドラは下がっていった。




 係りのお姉さんは「どう?いい感じに一発ヤちゃった?」などとふざけたことを聞いてくるが、スル―。

 お礼は伝えた。

「帰ろうか」

「お、おう」

 なんだか上の空って感じだ。

 そんなに信じられないのだろうか。

「……別れよっか?」

「困る、全力で困る、ボーっとしていた俺が悪かった!」

 自覚はあるんだな。

「人の誕生日に遊園地に誘って告白した挙句それは無いんじゃないの?」

「……は?」

 先ほど夕日が反射していた泉がライトアップされ、噴水が大きく打ち上げられる。

「だから、今日6月9日は私の誕生日だって言っているんだよ」

「……マジか?」

「冗談を言ってどうするんだ。真也とは僅かな時間差で1日違うが。

「………まじかよ、好きな子の誕生日プレゼント用意してない俺って」

 気にするな、もうもらったから、などと言えるはずもなく、何かを言おうとした。

 その時だ。


「八十一薫!探しましたよ!」


 黒スーツ、片手に赤いバラの花。

 長い髪をうなじを辺りでとめている、女性の様な見た目だとも、とれる美青年が現れた。


「あなたの許嫁、一文字夕いちもんじ ゆうです!」


 格好のいいハスキーボイスで告げられた。

こんな予定ではなかったんですがこうなっちまったのでこのまま投稿。


新キャラが出せたので良しとする。

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