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白の剣

俺は予想通りのパレード襲撃をある店の中で見物していた。

しばらくして姫同士が戦いだし、その直後には女性が店の中に吹き飛ばされてきた。

そしてさらに姫まで吹き飛ばされてきたせいで店の中はグチャグチャを通り越してガタガタだ。

俺が吹き飛ばされた姫の所に行くと派手な仮面の男がこちらに向けて刀を振りかざしてきた。

なんとか避け、空中で抜刀して上から男に振りかざす。防がれたが男は後退せざるをえなくなった。

さらに追撃をかけ、膨大な魔力を切っ先に集中する。

鋭い突きが男を襲う。防いだ刀は粉々に砕けて、俺の剣が男の心臓を貫こうとしたがこちらも途中で魔力に耐えきれなくなり砕けてしまう。

お互いに跳んで距離を取る。

「貴様、何故邪魔をする。」

「最初に斬りかかってきたのはお前だろうが」

「そうかそれはすまない。さぁそこを退け。我々はその姫の命を奪わねばならない。」

「それは少し困るんだよな。この人に俺、用があるんだ。悪いけどここは退いてくれ。お前ら自身のためにも」

周囲から既に親衛隊の声がする。もうすぐここは完全に包囲されるだろう。

「いいわ。行くわよデューク。」

二人の足音が聞こえなくなったのを確認して俺は姫を起こした。

「ん、んぅぅ」

「おーい起きてくれ。」

正直姫が起きているのには既に気付いていた。少し不自然に手が動いて自分の剣を握ったからだ。

剣が振られるが、後ろに跳んで躱した。

「気付いてたか。」

「こういうのには慣れているもので」

「何故助けたのじゃ」

俺はここぞとばかりに恭しく跪いて見せた。

「どうか私を姫の親衛隊に入れていただけないでしょうか」

「入れて欲しいのなら武力以外も示して欲しいのぉ」

「ではこれでどうでしょう」

俺は懐からある人物の命令書を出した。

「ほぉ、これは、良いだろう。以後私の右腕として働くが良い。」

「ありがたきお言葉」

この後、実行犯の死体から第一皇女の命令書が見つかることとなる。




誓歴2305年9月5日

ラインペッツ帝国王宮会議室

「これはどう考えても陰謀だ。姫君は自らの身内を殺したのだ。」

「しかし、誰かがわざとこれを残した可能性も・・・」

「だがこのサインの字が姫君のものだということは鑑定で判明している!言い逃れはできんぞ!」

このやり取りを表向きはどうであれ微笑している者が居た。

ラインペッツ帝国第三皇女レイネルド・ラインペッツである。彼女はひとしきり皆が言い終えた後で口を開いた。

「我が姉に味方する者に問う。そもそも何故我ら王族が被害に遭うほど警備が手薄になったのか?」

原因は親衛隊同士で殺し合った事にある。少し前長兄と長姉の仲が最悪の状態になり、長姉の親衛隊が相手の主を愚弄し、それが口げんかから殺し合いにまで発展するという、なんとも恥さらしな事件が起きたのだ。

「皆聞け!もはや我が姉の反逆は揺るぎない。だがその場合我が兄も共犯であろう。では誰が次の国王となる?知っての通り長兄は死に、その他多くの兄姉が死んだ。今生きている王族は旧バルセリナ領に逃げた二名の反逆者と我が父、そして私のみとなった。」

皆彼女が何を言いたいか既に察している。そして現状、ここ帝都におり、正統な王位継承者で、なんの疑いも掛けられていない王族は彼女一人なのだ。

「貴公らが正しき選択をすると私は信じておる。」

会議に出席した者全ての背筋に戦慄が走った。今まで権力に何の執着も見せなかった彼女が突然動き出したのだ。もちろん彼女を疑う者も居た。しかし意見が露呈した瞬間そういった輩は変死体で見つかるのだ。選択肢などありはしなかった。

















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