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帽子屋の裏側で

グライトシティは灯りで有名な街だ。中心街には道路の両脇全てに灯りがともり、賑やかである。その一角で優樹たちは

「これ、可愛いね!ほら、ペンギンだよペンギン!!」

夏梨が異様にはしゃいでいた。彼女は何かしらと変わった趣味を持つ。一般的なブラックは灯りというと、灯りの魔法を思い浮かべる。灯りを駆使する魔法師は大方灯りの中に爆発物を混ぜて相手を攻撃する。もしくは灯りで異様に周りを明るくし、相手の視界を奪ったりする。優樹達は夏梨をペンギンの灯りから引き剥がし急いで目的地まで行くことにした。彼らの集う場所は一件の古い店だった。店の名を〈リオ・クローシュ〉。それは直訳すると『ライオンの釣鐘』。クローシュはフランス語で釣鐘を意味し、時に釣鐘型の帽子という意味で帽子を表す。つまりこの店は百獣の王ライオンと帽子という意味だ。彼らが店のドアを開け、中に入ると長身の男が待ち構えていた。その人はなぜか執事のような格好をし、帽子を丁寧に棚に並べていた。突然の客にも驚くことなくその人は一礼する。

「ようこそ、〈リオ・クローシュ〉へ。お探し物は何でしょう?」

これには悠喜が答える。

「クロダッタをお願い」

その言葉を聞いた男は動作の音もなくひとつの扉を開いた。その奥には闇の廊下が永遠と続いているように見える。優樹達は迷うことなく廊下を進んでいった。その背後で静かにドアが閉まってゆく―

 ゆらゆら揺れる炎に照らされた廊下を一同6人は進んでゆく。結維だけはガッツリと悠喜の腕にしがみついているが、そんなことを気にしている暇はない。あと五分でとある部屋につかないと、会議が始まってしまうのだ。残り一分というところで一同は小さな暗いホールに着いた。

そこには古めかしいテーブルと6つの椅子があり、円卓を囲んで並んでいる。その中心には小さな窪みがあり、6人が席に着くと同時に点灯した。オレンジ色の炎が揺れて、中心には世界地図が浮かんだ。

「メンバーが揃ったか。これよりブラックの会議を始める」

低い老人のような声が告げた。これは世界の秘密ネットワークのようなもので一般回線の割り込みは不可能である。何故ならチャットそのものがブラックを中心とした能力で構成されているからだ。優樹達は今、回線にアクセスし、ブラックの会議に参加しているのだった。

「優樹よ、メンバーは集まったのか?」

老人の声が聞いた。優樹は世界でも名の知れたブラックなのだが本人は全く自覚がない。そもそも優樹の能力は特別で、悠喜と対として扱われるため珍しいのだ。悠喜は悠喜なりにそのことを分析なりしているのだが、優樹に伝える気はない。

「はい、長老」

優樹が重く頷く。二年前にあのテントに居た長老は今も変わらず優樹たちを見守っていた。

「よかろう。奴らは遅かれ早かれ、ワシらを見つける。そして聖剣ダクネス・レパルサーを見つけ出すだろう。お前はそれを阻止するのだ。剣を手に入れても良い、むしろそれが望ましい結果じゃ」

長老が口にした聖剣という言葉に、ディーロラ・ガウラの面々が顔を強張らせた。聖剣。それは、かつてリアルとノンが争った時に封印された、幻の剣。かつて、一振りすれば竜巻、二振りすれば天地逆転と謳われた、無二無双の剣が再び眠りから覚めるのだという。これは、世界の裏側を巻き込んだ壮絶な事になりそうだった・・・・・が。

「奴らは派手な騒ぎを好まぬ。前回の戦のようにはしたくないのだろう・・・。予想人数は8人じゃ。この人数で、聖剣を奪いにくるだろう」

長老は、分析結果を伝えたのち、通信を切ろうとした。その寸前を、夏梨がかすめとる。

「待ってください!!私達は、どこへ向かえば?」

夏梨の質問は、沈黙となり、二度とは返ってこなかった。

「この広い世界を探し回れってのか・・・・」

影真がぼやいた。その言葉を受けた悠喜は、

「この世界はコレが現実よ」

当たり前のように、呟いた・・・・。


今回は旅立ちのきっかけを書いてみました!!

人間関係に深い意味がとれると、嬉しいです!!

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