表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

再びの時

 少年が村を旅立ってから二年。彼の隣にはまだ少女はいなかった。少年はブラックだった。

「なあ、優樹。ホントにこの道であってんのかよ?」

少年、優樹は地図を見ながら

「あってる。・・・・たぶんな」

と答えた。その答えに満足しなかったもう一人の少年は少し黙ってから

「さっきから同じとこ、ぐるぐる回ってる気がするんだが?」

こう質問。それに耐えられなくなった少女は

「ああもうっ!いい加減にしな、優樹に影真っ!!」

と叫んだ。その声に不思議と二人の少年は静かになった。地図を見ながら歩く少年は二年前、長老のテントに呼び出された少年、谷空優樹やぞらゆうき。その後に続く少年、原本影真はらもとかずま。そして少女は高折夏梨たかおりなつり。彼等は一人たりとも違わず、ブラックの集団だった。約一年半ともに時間を過ごしてきた、仲間達だ。しかし彼等は今、道に迷っていた・・・・。

「この道を真っ直ぐ行けば、グライトシティのはずだ」

その言葉を信じて二人は後に続いた。


「ねぇ、あとどの位で着く?」

一方、同じ森の中には違うメンバーがいた。少女を先頭に、一人の少女と一人の少年が続いている。

「あと、10分ちょいかな」

少女が答えた。二人目の少女は後ろにいる少年に向かって

「羚斗、水ちょうだい」

命令。羚斗と呼ばれた少年は嫌々と水を差し出した。彼等も同じくブラックの集団だ。先頭の少女を時里悠喜ときさとゆうき。もう一人の少女は鈴波結維すずなみゆい。そして水を差し出した少年は古島羚斗ふるじまれいと。彼等の目的地も

「グライトシティってどんなとこ?」

グライトシティだ。


グライトシティの一歩直前の崖に優樹たちはいた。影真がすかさず、

「ほら、違っただろ」

その言葉に嘘や偽りはないので、優樹は黙るしか無い。夏梨はもうあきらめモードだ。

「なあ、そこにいる奴でてこいよ」

優樹が突然放った言葉に影真だけでなく夏梨も驚いた。優樹の周りを紫色の風が覆い、いきなり目の前に三人が降ってきた。そう、それは同じ森の中にいたあの三人だ。当然優樹はそんなことは知らない。

「むむっ、バレたか」

結維が唸った。

「ごめん、ごめん。何か崖の目の前に突っ立てる人発見したから、道に迷ってんのかな~って」

「余計なお世話だ」

膨れっ面で優樹が言った。その反応に周りの人が驚いた。普通なら名前くらい聞くものだ。ましてやいきなり能力を使うのは自らがブラックだと相手に言っているようなもの。だから、考えられるのはひとつ。

「知り合い?」

優樹、悠喜を除く四人が声を合わせて聞いた。それには驚いた優樹、悠喜はあわてて頷く。

「まあな。幼馴染みたいなもんだ。こいつはオレと同じクロダッタ村出身だ」

そう、悠喜とは二年前に優樹の隣にいた少女のことだ。彼らはあのあと分散し、自分たちの仲間となるブラックを探していた。それぞれ信頼できるメンバーを二人ずつ探し、彼らはある組織と敵対する事になっていた。その組織は千年前の亀裂の戦、ノン側の生き残りだ。彼らはリアルが創造した『日光鏡』で封印されていたはずだったが、十年前ほどに外部の手により封印が解かれてた。そして、開放されたノンを率いて『Knight・Bullet』通称KBを結成した。その存在は闇に葬られており、知っている者は少ない。

「よろしく。こっちは鈴波結維で、こっちが古島羚斗」

「ところで、グライトシティにはどうやって行くんだ?」

悠喜はやれやれとため息をつき、

「もちろん、君の能力でだよ」

言った。


 六人はグライトシティの中心街にいた。

「確かによ、能力で飛ぶのはいいけどよぉ」

優樹が悠喜に文句を言った。ブラックは能力を持っている。彼、谷空優樹の能力は空間移動。一定の大きさの空間内であれば、彼の思うままに対象物を移動することができるのだ。幼い頃から訓練され、生き残るレベルまで達したら旅立つ。ブラックとして同期である優樹と悠喜は共に出身村のクロダッタ村を出た。彼らは産み親こそ違うものの、幼馴染である。能力もそれに左右される。

「いい能力なんだから。私のなんて使い物にならないほどだよ」

夏梨がすかさず言った。彼女の言葉に嘘はない。能力にしては珍しくはないのだ。しかし優樹が彼女を選んだには理由があった。

「オレの能力は逆に戦闘以外にはあまり役に立たないぜ?」

そういったのは羚斗だ。そういうわけでもないのだが、確かにこの6人の中では下だ。

「ねぇ、名前決めようよ!チームの名前!!」

結維がはしゃぎ目で言った。

「そうだね!何がいい?」

言うは言うのだが、考えはしないのが結維だ。彼女はいわゆるお姫様みたいなものだ。デラティーン区外の城で育ったお姫様。小さい頃から欲しいものは手に入り何ひとつ不自由はなかった。悠喜はそんな彼女を厳しい環境で連れ回している。命令口調なのは変わりないが、彼女も最低限の常識は持つようになっていた。そして珍しく・・・

「ディーロラ・ガウラ何かはどう?」

提案した。事情を知っている悠喜と羚斗が目を剥く。言った本人はその認識がなく楽しくしゃべり続けていた。

「ディーロラ・ガウラか・・・」

優樹が少し考えながら言った。

「いいかもな、ソレ。どうせ他のは思いつかねぇんだしよ」

影真が投げやりに答える。しかし一同に文句等はない。何故なら・・・

「リーダーがそう言うなら!!」

リーダーの言葉は絶対。この場合、集めていた主本人がリーダーだ。つまり、谷空優樹がリーダーとなる。新たなリーダーを立てた一同はグライトシティの中心街にたどり着いていた。


 今回はいわゆる感動的再会ですね。二年間をそれぞれ過ごしてきた出会いです!!

これ以上いうとネタバレになりそうなのでここらで。


 新しい物語が新しい街で始まります~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ