OPENING 旅立ちの覚悟
これは異世界の物語。青空の広がる下に小さな村があった。その村にある、ひときわ大きなテントのなかにその少年はいた。そして、その隣には彼の最も信頼できる少女が。その二人の前には顔にしわの刻まれた老人がいた。
「君達はもうこの村の立派な大人だ。行け。」
老人の言葉に二人はうなずいた。二人は同時に後ろを向き、テントの入り口に向かった。
テントを出てから少年が少女に尋ねた。
「どこに行くの?」
少女は少年を一睨みしてから、
「分からない。でも、生きる」
最後の言葉は少年の心に深く残った。彼は今まで決して良い生活をしてきた訳では無い。しかし彼はただ生きてきた訳でもない。しっかり夢があった。
「オレは夢を目指す。それまでは、じゃあな」
夢のためには覚悟が必要だ。少年はそれを知って、あえて別れを選んだ。少女もそれを知っている。だから深くは追求しなかった。
これが新世界への覚悟。
この世界の全ては二つに分類できる。ひとつは『実体の在るもの』もう一つは『透けた存在』。そしてこれらのどちらにも当てはまらない、『分析不可能な黒』。我々人間のほぼ全てが一つ目に分類される。太古の人々が我々の存在を『リアル』と表し、特殊能力を自在に使いこなすモノを『ノン』と名づけた。生まれながら違う人類として、生き、隠し持った力を見つける。そうとなればモノとして、人間の集団を離れなければいけなくなる。その原因は千年前に起きたある事件だった。
世界のバランスを大きく崩した千年前のアレ。それを経験した者が『亀裂の戦』と名づけた、忌まわしい戦い。初めて人間が己に持てる力を使ったのもそのときだった。リアルとノンが対立し結果的にリアルが勝った。その際にノンの代表的な一族が自然界を司る一族。しかし、彼等はノンに付いたのではなくリアル側についた、唯一のノンだった。岩、林、森、泉の四つの一族だった。
ごく稀にリアルが力を使える者もいる。生まれは人間だが力を振るってきた。彼等は力を人間のために使う事を、亀裂の戦以来、誓ってきた。そうした存在は『分析不可能な黒』と認識され、一般的に『ブラック』と呼ばれた。彼等は自分を害のない能力者と表すため、腕に唯一のタトゥーを付けた。彼等はリアルに恐れられる事も無く生きてきた。はずだった。今になってはブラックの中でさえも力をむやみに振るう者が出てきてしまったのだった。
この小説は「こうなったらいいな~」という、作者の現実逃避です!ですから、気分を発散させつつの作品です。こんなのありかよ!という展開もあるので・・・。
テーマとかはとくにありません。あえていうなら、現実にこんな力があったらどうなってるんだろうとか思ったりしますね。書きたいのを書いているので、表現的に間違っていたら、見逃してください・・・。
あくまで書きたかったのは勇者と超能力の組み合わせです!!