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御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
第五章 師弟
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その弐

「原! 貴様、一体どの面目晒してここに来た!」

 年配の男が慶一郎に食って掛かった。

「いやいや、御諚御尤も。ですが、俺の顔に免じて話ぐらいは聞いてくれませんかね」

 にやにやと笑いながら、慶一郎は無防備の儘どんどん近づいていった。

「待て、流石にそこから動くな! 話は聞いてやる。貴様の間合いの外から話せ!」

 男は慌てて慶一郎を制す。

「それでこそ。身を晒した甲斐があるってもんですよ」

 軽口を叩きながら、慶一郎は制止した。

「して、何様だ。いや、用は分かる、通しはせんぞ?」

 男は先に牽制を掛けた。

「ははは、御尤も御尤も。ですが、俺の話を聞いてもそうしていられますかね?」

 人の悪い笑みを浮かべ、慶一郎は男に問いかける。

「ならば聞かぬぞ?」

「まあまあ。お聞きなさい、長谷川殿。あんた、一体何しているんですか? 流派を割るつもりですか?」

 いきなり真顔で慶一郎は弾劾(だんがい)した。

「貴様、何を云い出すかと思えばッ! 割っているのは貴様の方だろうが!」

「まあ、今はそうなんですがね。近い将来もそうだと思いますかね、あんたほどの人が?」

 激昂する長谷川を静かに諭す。「あのクソ爺が反旗を翻したからと云って、兄者が味方しますかね、この場合?」

「ムッ?」

 初めてそれに考え至ったとばかりに長谷川は言葉を詰まらす。

「そりゃ無いでしょう。あの人、上様と父親どちらを取ると訊かれたら、上様を取りますよ。その上、自分の父親が上様を弑虐(しいぎゃく)したと知ったら、家の不名誉を雪辱するために、あの爺を自らの手で殺しますよ」

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