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御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
第四章 潜入
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その弐

「そうか。お互い難儀だな」

 憂鬱(ゆううつ)そうに仁兵衛は笑った。

「まあなあ。だが、俺の場合はそうなることぐらいは覚悟していた。それこそ、生まれが生まれだからな」

 力強い意志を感じさせる目を向け、慶一郎は言ってのけた。

「東大公家が出来て以来の武門の名家、だったか?」

「大体そんなところだ。ま、正確に云うと、御先祖様が初代様の友だったってだけの話でな」

 慶一郎は肩を竦める。「それも、まだ武幻斉様との修行の旅の途中で出会ったらしくてなあ。出会った時から馬が合い、正に莫逆(ばくげき)の友と云うべき存在だったらしい。長じて雷文公が朝廷に出仕してからもその配下として八面六臂(ろっぴ)の大活躍で、本来ならば雷文公が扶桑を追われた時、共に国を出ようとしたらしいんだが、竜武公のことを重ね重ね頼むと云い含められたみたいでな、扶桑に残って常に先陣を切っていた。扶桑を離れる時も殿(しんがり)を務め、この地に渡ってきたのも最後の船だったそうだ」

「騎突星馳流の当主だったんだろう?」

「ああ。お陰で代々騎突星馳流を学ぶ羽目にあっているよ。俺は性に合っているから構わないんだがね」

 にやりと笑い、慶一郎を見やる。「別に、親父さんを助けることに違和感を覚えている訳じゃないんだろう?」

「当然だ!」

 語気荒く、仁兵衛は言下に断じた。

「そいつは重畳(ちょうじょう)。そこからして悩んでいるんだったら処置無しって奴だ。だけど、相棒、お前さんはそうじゃない。だったら、今は悩まずにいる、それで折り合いは付くだろう?」

 慶一郎はいとも簡単に言ってのけた。

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