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御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
第四章 潜入
50/185

その壱

前話、200文字に足らない程度書き足してあります。

アップ当日に読まれた方は、御注意ください


 河を下る船の舷側(げんそく)から流れゆく光景を眺め、仁兵衛は物思いに(ふけ)っていた。

「おいおい、相棒、どうしたんだい?」

 なにやら不思議なものを見る目で慶一郎が話しかけてくる。「らしくないじゃないか」

「そうもなる。全く以て、俺向きの状況ではない。複雑怪奇なる事情など、柄ではない」

 心底嫌そうな口調でぼやく仁兵衛に、

「ははは、そう云うなよ、相棒。生まれが悪かったんだ、諦めな」

 と、慶一郎が(おど)けた。

「生まれ自体は如何なるものか俺には分からん」

「ああ、そうだったな。じゃあ、云い換えるか。育ちが悪かったと」

 茶化す慶一郎に対し、静かに仁兵衛は溜息を付いた。

 処置無しとばかりに肩を竦めてから、慶一郎は隣に立った。

 暫し、無言のまま二人は岸辺を眺めた。

「で、何がそうまで悩ませる?」

 先程とは打って変わった真摯な表情で慶一郎は仁兵衛を問い(ただ)した。

「何もかも。気が付いたらどうしようもないほど面倒事に足を突っ込んでいたこと全て、かな」

 苦笑しながら仁兵衛は愚痴った。

「まあ、気分は分からんでもないな」

 慶一郎は相鎚を打つ。「俺もこれで大流派の上から数えた方が早い使い手だからなあ。ただ戦人としていきたいと思っていても、思わぬ争いに巻き込まれることは多々ある」

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