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御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
間章 奥之院
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その六

「東大公になれずとも、この場に入る資格は有する事になるであろう、然ういう事でございますか」

「いやあ、それもどうだか分からないぞ?」

 にやつきながら、彦三郎の確認を否定した。

「上様。御猶子殿には【奥之院】に入る資格がないと云う意味でございましょうか?」

「いやいや。その逆じゃて。アレにも東大公になる資格があるという事よ」

 帯刀はしてやったりといった表情を浮かべ、大笑いする。「知恵者のおことにもその手は思いつかなんだか」

「はて? とんと思いつきませぬが」

 帯刀の問いの答えが那辺(なへん)にあるのか想像も付かず、彦三郎は首を捻った。

「二代目東大公竜武公は何故東大公になれたのかの?」

 彦三郎の様子を見て、帯刀は助け船を出した。

「それは雷文公の後継者であらせられたからかと」

「何故、後継者になれたのだ?」

「柴原神刀流の当主を伝承されたからでしょう」

「否、大いに否。竜文公が仮に柴原神刀流の当主でなくても、東大公になったであろうよ」

「それは如何なる仰せで?」

「竜武公が駙馬(ふば)であったからだ」

 笑いもせずに帯刀は断言する。「元々、竜武公は雷文公に拾われた戦災孤児に過ぎぬ。剣の才を見出(みいだ)され、祖父の高弟であった阿賀真一郎(しんいちろう)孝寿に預けた。後に子のない阿賀孝寿が養子として迎え入れ、阿賀光一郎(こういちろう)鳴雲と名付け、自らの後継者に定めた。雷文公が扶桑を離れた後、狂王の軍勢相手に大いに戦功を挙げ、父親の後を継ぎ近衛大将となり、時の内親王を(めと)る事となった。しかし、既に大勢は決しており、後は如何に長く粘れるかという状況でしか無く、万策尽きていたが為、雷文公の残した秘策を余力が残っている内に決行した。それが大移動よ」

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