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御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
間章 奥之院
42/185

その壱

「さてはて、これはこれで面白い状況ではある」

 苦笑しながら、帯刀は床机に腰を下ろしていた。

「御意」

 傍に控える中年の男が言葉短く答えた。

「全く、東大公に就いて戦支度をするはめに会うとはな」

 黄色の直垂(ひたたれ)に扶桑様式と中原様式の良いところを折衷した鎧を身につけ、猩々緋(しょうじょうひ)の陣羽織を身に纏う。腰には小太刀と鉄扇、太刀は脚の間に立てて柄頭の上に両手を載っけていた。

「致し方がないことかと」

 やはり口数少なく男は相鎚を打った。

「それにしても彦三郎。おことは誠に軽装よな」

 帯刀は彦三郎と呼んだ男を羨ましそうな目で見る。「永善(えいぜん)鬼眼(きがん)流は柔に特化しているからとは云え、戦場(いくさば)でそれは無かろう」

「御意。されど、護衛の極意は己も生き抜くことなれば、動きやすさを優先せざるを得ないものかと。それに、この場に来られる者は限られておりますれば、乱戦を考える理由もなく、技の切れを優先した次第」

 帯刀の嫌味を柳に風とばかりに顔色一つ変えず、彦三郎は受け流した。

「それも又、道理よな」

 苦笑しながら、つまらなそうに相槌を打つ。「さてはて、予測通り【旗幟八流】の内、半分が敵に回ったか」

「その様子で」

 能面のような感情を全く感じさせぬ顔付きで、彦三郎は返事をする。

「少なくとも、四人の当主と相手せねばならぬか。至極面倒な話ではあるな」

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